睡眠中に霊界を探訪した偉大なる学者―エマヌエル・スウェーデンボルグ

数々の神秘主義的な著作を世に送り出し、霊界の存在を証明したスウェーデンボルグ。

偉大な霊能者として知られる彼は、数学や物理学、自然史学、宇宙科学など多岐にわたる学問に精通する学者でもあった。また優れた鉱山技師でもあり、国会議員としても才能を発揮していた。

1688年、スウェーデンで牧師の父のもとに生まれたスウェーデンボルグは、11歳で大学に進学。数理学や医学を熱心に学び、卒業後は動力があれば飛行可能な航空機を歴史上初めて設計した。他にも結晶学の創始者となるなど多くの業績を残す。31歳で貴族に叙(じょ)され、鉱山技師として活動する傍ら、哲学と鉱物についての学論などの多くの著書を発表するなど、学者としてその名をヨーロッパ中に知らしめた。

スウェーデンボルグの霊的な目覚めは、人生の半ばを越えた50代のときに起こる。

ある日、自室で執筆に励んでいたスウェーデンボルグの耳に、次第に近づく鈴の音が聞こえてきた。そして音が止んだとき、窓を突き抜けて姿を現したのは、イエス・キリストだった。イエスはスウェーデンボルグの頭に王冠を載せてほほ笑み、こう語った。

「お前の前半生は終わった。今日から新生しなさい。残りの人生を私のために費やしなさい」

その日からスウェーデンボルグは霊視能力や霊聴能力などの不思議な能力に目覚めた。中でも一番の能力は幽体離脱で、睡眠中に魂が肉体から抜け、霊界に赴くことができるようになったのだ。

あるときは美しい天国を探索し、またあるときは地獄で亡者たちに追われるなどの恐怖体験をしたスウェーデンボルグは、その体験を克明に記録した。幽体離脱は10数時間から長いときでは1週間にのぼったため、傍目には1週間ひたすら眠り続けている状態だったという。

スウェーデンボルグが出版した霊界に関する書物は100冊を超え、ほとんどはペンを持った手が霊に動かされる自動書記で書かれた。あらゆる霊が自動書記のためにスウェーデンボルグの元を訪れ、中には聖書に登場する人物を名乗る霊もいたという。

ヨーロッパをはじめ、世界中に霊界の存在を証明したスウェーデンボルグ。その著作は哲学者カントをはじめとした多くの知識人や著名人にも認められ、今も世界各国で霊界の真実を伝え続けている。

(「Are You Happy?」2011年3月号)

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