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【経済の偉人シリーズ③】繁栄思想の偉人たち「ピーター・F・ドラッカー」

低迷する世界経済。今こそ経済の偉人の思想が求められています。「繁栄思想」で世界を発展に導いた偉人たちについて、聖学院大学政治経済学部教授・鈴木真実哉さんに語っていただきました。

【ピーター・F・ドラッカー】
経営学者・社会生態学者〔1909年~2005年〕

世界の企業経営者に敬愛され続ける「マネジメントの父」

005年に95歳で天寿を全うし、20世紀をほぼ100年生き抜いたピーター・F・ドラッカー。
「マネジメントの父」としても有名な彼は、1909年にオーストリア・ウイーンのドイツ系ユダヤ人の家庭に生まれました。「ウイーンのよき伝統は繁栄と自由を愛する気風」と後に述べているように、ドラッカーの根底には自由主義思想があり、それに基づいた活動を生涯続けていきました。

20歳で新聞記者になり、当時はまだドイツの第五党代表だったアドルフ・ヒトラーにインタビューをします。その時点でヒトラーの全体主義思想の危険さを見抜き、イギリス・ロンドンに渡ります。  やがて家族とアメリカに移住し、フリーの記者として活動。1939年に発表した処女作『経済人の終わり』が大ヒットし、その名は一躍有名になります。

ドラッカーは自らを“人間によってつくられた人間社会を観察し著述する「社会生態学者」”と呼びました。ちなみに、ドラッカーとはオランダ語で「印刷屋」という意味。先祖は1500年代にオランダで印刷屋を開いていたそうです。ドラッカーは人間社会の特徴や本質を活字で“印刷”して残そうと、多くの書籍を出版します。

作には大著といわれるものだけで35冊あり、ドラッカー自身が「経営と組織」「社会と経済」「政治倫理」の3つに分類しています。そして「社会生態学者としての発見は既存の概念や言葉では表せない」と、分権化、民営化、事業戦略、ナレッジマネジメントなど、今では一般的に使われている言葉を多く発明しました。

ラッカーが活動した時代は、社会主義や共産主義が台頭した時代でもありました。ドラッカーは資本主義に倫理・道徳性が失われていることを憂い、「自分の仕事は資本主義に新たな倫理性を与えること」と、活動を続けていきます。

そして社会・共産主義者が攻撃する資本主義の“利潤”について、「利潤の最大化が企業の第一命題ではない。しかし企業は工場を建て、会社を運営するコストがかかる。それを賄うのが利潤・利益であり、利潤がなければ顧客が創造できず、国民に役立つ企業を運営できない」と批判を退けます。そして利潤を上げて社会的貢献をするために、企業をどう運営するかについて書かれたのが、有名な『マネジメント』です。

人間は給料だけでなく、生きがいを求めて働くことを観察によって見抜いたドラッカーは、「労働者が一生懸命働くために必要なのは、クビを切られるという恐怖心でも、労働組合による保護でもなく、生きがいになる職務であり、経営者の仕事は労働者に使命感を与えること」と説き、さらに「公的利益を通じての私的利益の実現こそが、経営者の社会的責任」と伝えています。

ラッカーのマネジメントや経営学に関する著書に貫かれているのは、この哲学です。ドラッカー理論を会社に応用しようとする経営者は多いですが、単にテクニックやノウハウだけを実行しても成功はしません。ドラッカーがこれらの著書を世に出した背景や、根底に流れる自由主義への思いを感じ、その哲学を理解しようと努力する経営者こそが、ドラッカーの思いを受け継ぎ、組織を発展させていくのです。

ドラッカーによる著作分類とそれぞれの代表作
●経営と組織
『現代の経営』『マネジメント』『創造する経営者』
●社会と経済
『経済人の終わり』『ネクスト・ソサエティ』『産業人の未来』『ポスト資本主義社会』
●政治倫理
『断絶の時代』

ドラッカーが語る現代日本経済の指針

『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?』
大川隆法 著 幸福の科学出版 ¥1,365(税込)

ドラッカー霊言による 国家と経営』
大川隆法 著 幸福の科学出版 ¥1,470(税込)

『ザ・ネクスト・フロンティア』
大川隆法 著 幸福の科学出版 ¥1,470(税込)

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記事DATA

鈴木真実哉 Mamiya Suzuki

聖学院大学政治経済学部教授

1954年生まれ。ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ経営成功学部ディーン、聖学院大学政治経済学部教授。専門分野の金融論のほか、貨幣論、シュン ペーター理論などを研究。著書に『格差社会で日本は勝つ』(幸福の科学出版)、共著に『カオスの中の貨幣理論』(雄松堂出版)、『金融入門』(昭和堂)な ど。