【前半】衝撃の近未来シミュレーションまんが「もしも、日本の原子力発電所を完全に止めてしまったら?」(2012年8月号)

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原発廃止で計画停電が現実のものに

昨年、東京電力管内では夏のピーク時に足りない電力が10.3%に上ると見込まれたため、みんなで節電に努め、なんとか夏の停電は回避されました。

しかし、原発がすべて停止した本年、関西電力管内では14.9%もの電力が不足する予想となり、政府と自治体は再稼動を決定しました。

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日本の産業は技術も生産能力も“からっぽ”に

震災直後に東京電力管内で実施された計画停電のとき、給水に圧力ポンプを使っている建物では断水し、銀行ATMも一部利用停止。鉄道の運転にも大きな混乱がありました。

また、工場などで生産計画・体制の見直しを余儀なくされて生産コストは上がり、お店などは営業時間を短縮せざるを得ないため売上も減少。電力不足が続けば国はどんどん貧乏になっていくのです。

 

全国で1日68億円も燃料費が増加

原発の停止で減った電力をまかなうため、火力発電の燃料費が大幅に増えます。電力中央研究所の試算によると、燃料費の増加分は年間2.5兆円(※)。1日あたり68億円です。

しかも、老朽化した火力発電所をフル稼働するためトラブルも続出。太陽光や風力などの再生可能エネルギーも原子力の代替にはならず、いくら電力会社がコストカットに励んでも電気料金の値上げは避けられません。

(※)おもにLNG火力を焚き増す場合

 

 

米軍基地が沖縄にある理由って?

沖縄は、韓国や上海、台湾が1000km以内にあり、北朝鮮、北京、香港、フィリピンも1500km以内という地理的特徴があります。

その上、米海兵隊は陸海空のすべての要素を活用できる機動力の高い部隊。「沖縄に米海兵隊がいる」ということが、中国や北朝鮮、ロシアなどの日本周辺各国が、「日本に武力を行使できない理由」になっているのです。

 

日本の電力はシーレーンだのみ!?

貿易や国防上、重要な価値を持つ海上交通路のことを「シーレーン」と言います。上の図のように、日本の場合、石油やLNG(液化天然ガス)、石炭などのエネルギー資源は、ほとんどがシーレーンを通って輸入されています。

とくに中東は日本が原油の輸入の86%を頼っている地域。ここから東南アジア、台湾近海を通るシーレーンはとても重要です。

もしも米軍が沖縄から撤退して日本周辺の緊急事態に素早い対応ができなくなった場合、中国が台湾に武力侵攻しても防ぐことができず、台湾近海は中国のものになります。ここをタンカーが通れなくなれば、日本の火力発電は危機的状況に陥るため、中国の言いなりになるしかなくなるのです。

 

原発を止めてはいけない理由

日本のエネルギー自給率は、原子力を除けば4%と極めて低い水準です。原子力発電の燃料となる濃縮ウランは、他の燃料と比べて桁違いに少ない量で発電ができるため、一旦輸入すれば長期間使うことができます。

また、再処理すればくり返し使えるため、「準国産エネルギー」と言われているのです。万が一、火力発電の燃料を運ぶタンカーが日本に到着できない事態になれば、「1日数時間しか電気が届かない」ということにもなりかねないのです。

 

放射線による死者はひとりもいない

今回の福島第一原発事故の影響は大きなものでした。しかし、冷静に考えれば、放射線によって亡くなった人はひとりもいません。

「時間が経ったときの影響が心配」という声もありますが、大多数の福島県民が事故により受ける年間の被ばく量は、通常の生活をしていても受ける自然放射線量の範囲を超えないレベル。広島・長崎の疫学調査でも、100ミリシーベルト以下の放射線量では、健康被害や遺伝的影響は確認されていません。

原発の安全性を高める努力は重要ですが、エネルギー供給環境の安全性や、国防という観点からも、原発について考えるときが来ているのではないでしょうか。

後半はこちら→【後半】衝撃の近未来シミュレーションまんが「もしも、日本の原子力発電所を完全に止めてしまったら?」

Illustration by YUKIYAMA

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記事DATA

黒川白雲 Hakuun Kurokawa

HSU バイス・プリンシパル 兼 人間幸福学部

1966年生まれ。兵庫県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京都庁勤務を経て、宗教法人幸福の科学に入局。人事局長、活動推進局長、指導研修局長、常務理事などを歴任。2014年、東洋大学大学院経済学研究科卒業。著書に『知的幸福整理学』『比較幸福学の基本論点』『人間とは何か』(幸福の科学出版)等がある。