心の成熟について 後編 (2009年9月号)

「許す」ということは宗教的な境地

前回は、「心の成熟のための心構え」として、一番目に、「自分の気持ちを考えすぎない」ということ、 二番目に、「多様な価値観を認める努力をする」ということを述べました。

三番目の心構えは、「『許す』ということをもっと考え、実践する」ということです。

これは二番目の心構えともつながるものですが、幸福に生きたいならば、「人を許す」ということが大事です。人を許すのは難しいことですが、これは宗教的境地なのです。

今の時代においては、学校で勉強し、仕事で教わることというのは、どうしても人を裁くほうに働きます。他の人に対して、「駄目だ、駄目だ」と裁いていき、縛りをかけていくところがあります。

その意味で、二番目の心構えとして述べたことと同様ですが、一定の価値基準に基づいて、「人を型にはめよう」とする傾向があるわけです。

やはり、許すということにも努力が必要であり、自然には、人を許せるようにはなりません。宗教的真理を知り、「許しというものには、本当に実体的な力があるのだ」ということを知らなければいけないのです。

 

相手を責めても幸福にはなれない

人間関係でのぎくしゃくした問題や、さまざまな不幸の原因のほとんどは、自分が誰かを憎み続けていたり、誰かに対して怒っていたりすることにあります。そのように、自分の不幸の原因として、誰かを当てはめていることが多いのです。

それは、ある意味で、半分は当たっているかもしれませんが、相手のほうは、おそらく、あなたとは逆のことを言って反論するはずです。

例えば、交通事故で、自分の息子がダンプカーに轢かれてしまったとします。それは不幸な事件であり、親としては悔しいでしょう。「ダンプカーの運転手を刑務所に入れて、一生、出したくない」「裁判官は、二年や三年で刑務所から出られるような判決を出さないでほしい。無期懲役か死刑にしてほしい」というぐらいの憎しみが出てくると思います。子供を車に轢かれたりしたら、親の気持ちとしては、それが普通であり、憎しみが止まらないだろうと思います。

しかし、その憎しみは、自分を幸福にしない感情です。「加害者の罪をできるだけ重くし、できれば息子と同じように命を奪ってほしい」と裁判所に訴える気持ちは、相手の不幸を願うものだからです。

息子が亡くなったことだけでも十分に不幸なのに、さらに、自分自身をも不幸にしようとしているわけです。

そのダンプカーの運転手は、実は、若い青年であることもあります。そして、「長距離輸送をしていて、夜も眠らずに、九州まで行って帰ってきたところだった」などというように、かなり過酷な労働条件で働いているなかで、たまたま起きた事故であったりします。

そのように、トラックの運転手にも、かわいそうな面がある場合もあります。また、その人にも家族があり、父母や兄弟がいますし、その人の家庭にも、いろいろと恵まれない事情があるかもしれません。

しかし、息子を失った親の頭には、そのような考えはまったくよぎりもせず、憎しみしか出てこないことが多いのです。自分を不幸にした者に対する憎しみが止まらず、それがずっと続いていきます。

しかし、許さなければいけません。この世の中は、そんなに何もかもが整然とうまくはいかないものであるので、努力して、どこかで許しの気持ちを持つ必要があります。

「もう恨み言は言うまい。相手を責めても自分が幸福になれるわけではないから、もう責めまい。相手も苦しいのだから、許そう」という気持ちを持たなければ駄目なのです。

 

大川隆法 Ryuho Okawa

幸福の科学グループ創始者兼総裁

幸福の科学グループ創始者 兼 総裁。1956(昭和31)年7月7日、徳島県に生まれる。東京大学法学部卒業後、大手総合商社に入社し、ニューヨーク本社に勤務するかたわら、ニューヨーク市立大学大学院で国際金融論を学ぶ。81年、大悟し、人類救済の大いなる使命を持つ「エル・カンターレ」であることを自覚する。86年、「幸福の科学」を設立。信者は世界100カ国以上に広がっており、全国・全世界に精舎・支部精舎等を700カ所以上、布教所を約1万カ所展開している。説法回数は2800回を超え(うち英語説法120回以上)、また著作は30言語に翻訳され、発刊点数は全世界で2400書を超える。『太陽の法』(幸福の科学出版刊)をはじめとする著作の多くはベストセラー、ミリオンセラーとなっている。また、映画「心に寄り添う。」(ドキュメンタリー・2018年5月公開)、「さらば青春、されど青春。」(実写・同年5月公開)、「宇宙の法-黎明編-」(アニメ・同年10月公開)、「僕の彼女は魔法使い」(実写・2019年公開)など、15作の劇場用映画を製作総指揮・企画している。ハッピー・サイエンス・ユニバーシティと学校法人 幸福の科学学園(中学校・高等学校)の創立者、幸福実現党創立者兼総裁、HS政経塾創立者兼名誉塾長、幸福の科学出版(株)創立者、ニュースター・プロダクション(株)会長、ARI Production(株)会長でもある。

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