〔お悩み〕
わが家には、中学2年生と小学4年生の子供がいます。転勤の多い職場で、上の子が小学生のときに2回引っ越しをしました。そして前回の引っ越しから5年経ち、子供たちもすっかり地元の友達と馴染んできたところに、今度は海外に赴任することに。妻は「なるべく家族一緒がいい」と言っているのですが、子供たちに与える影響が心配です。子供たちにとって、どちらが精神的に負担が少ないでしょうか。(45歳/東京都)
子供にもきちんと状況を説明する
単身赴任をするか、家族一緒に引っ越すかという選択は、親としてはとても悩むところだと思います。どちらを選択するにしても、大事なことは、親子でしっかりと話し合うことだと思います。小学4年生のお子さんであれば「なぜ親に転勤があるのか」「家族が離れた場合と一緒に住んだ場合の違い」など、きちんと説明すれば、しっかり理解できます。子供だから分からないだろうというのは親の思い込みであることが多いので、難しい言葉を使わずに説明することが親の責務でもあると思います。
転勤先が海外となれば、その国の治安や、ご家族の健康状態など、日本での転勤とは違う論点がいくつも出てきますので、まずは、ご夫婦で話し合ってみてください。お子さんの高校、大学などの将来の進路も考えながら、総合的に判断することになるでしょう。
最後は子供たちを信じること
私のいる学校は全寮制なので、親の転勤に関係なく中高時代を同じ学校で過ごしますが、小学生のころに転校した経験を持つ生徒の話を聞くこともあります。父親が転勤の多い職場で、毎年のように転校した、という子もいました。どの子も共通して、「仲の良い友達と別れるのがつらかった」とは話していました。あなたが心配されているように、当然、子供たちに与える影響はあると思います。それを前提に、父親だけが単身赴任して、同じ日本の学校にいるか、家族が一緒に海外まで行って暮らすかを話し合いましょう。
最後は、ご両親がお子さんたちを信じることも必要です。海外に引っ越すことを子供に打ち明けた場合、転校を知って子供に泣かれる可能性は高いと思います。しかし、子供は順応性が高いので、多くの子は新しい環境に慣れていき、新たに友達をつくっていきます。見方を変えれば、転校は、子供たちの魂が鍛えられ、環境に左右されず、どんな環境に置かれてもたくましく生きていく力が身に付く機会ともいえます。どのような環境であっても、子供たちは成長できると信じましょう。
どちらの選択をしても信頼関係を築くことが大事
どちらを選ぶことになったとしても、明るい家庭で、何でも相談できる信頼関係を築いていくことが大事だと思います。単身赴任を選び、子供たちと離れて暮らすことになった場合でも、スカイプなどでコミュニケーションを取る工夫をしてみてください。海外で一緒に暮らす場合は、それぞれが、カルチャーの違いや慣れない生活で感じるストレスを、家庭の中で和らげる。そんな家族を目指してはいかがでしょう。転勤を機に、家族の絆を深めてみてください。もう大丈夫!!
(「Are You Happy?」2022年11月号)