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その飾り要りますか?

アクセサリーは何のため?

幼稚園の卒園式で、園児の一人が先生のところにやってきました。
「お母さんが、分からなくなっちゃった」
集った母親たちが、似たような紺のスーツに同じようなコサージュやパールのアクセサリーを着けていたため探し出せなかったのです。人はなぜ、アクセサリーを着けるのでしょうか? 民族によって少し異なりますが、アフリカの原住民は、自分の存在を際立たせてきれいに見せるため、また位を示すためにアクセサリーを身に着けます。
私たちの周りはというと、ほとんどの人が、きれいに見せるためです。しかし、アクセサリーを着けた効果が、原住民のように胸を張って誇れるだけのものなのかが気になります。

着けたアクセサリーから人となりが見える

私がお会いしたアクセサリーの似合った王室の方は、エリザベス女王と美智子さまでした。
エリザベス女王は、国の代表として代々英国に伝わってきた宝石を身に着け、宝石を通して英国の素晴らしさを広めています。彼女は重みある宝石を、原色の華やかな衣装と帽子で迎え入れていました。それなりの心構えが必要なのだと感じたものです。一方、上皇后美智子さまは、品が良くて温もりのある、控えめのアクセサリーを選ばれます。
ともすればアクセサリーは、相手に圧をかけるために使われますが、美智子さまは国民との間にある高い壁を低くし、気持ちのやり取りをする橋渡しの道具としてアクセサリーを身に着けていらっしゃいました。アクセサリーには、その人の考え方が現れるのです。

なぜアクセサリーを足したくなるのか

ファッションデザイナーの三宅一生さんがアクセサリーを作りました。
「合わないものを着けられてしまうのが心配なので作りました」
見せられたのは、長さ10センチほどの大ぶりの安全ピンでした。金と銀の2種類があり、これならどんな服にでも似合いそうです。
「でも、初めから服のデザインに含まれるアクセサリーは別として、基本、アクセサリーを着けるのは、おすすめしません」
イッセイさんいわく、服、ヘアー、メークが完璧に出来上がっていれば、アクセサリーは必要ないのだそうです。
「付け足したくなるのは、どこかが完璧ではないからです」
年を重ねるほど光や色を足したくなるのは、失いつつある若さや力を何かで補いたいという気持ちの表れかもしれません。しかし、足しすぎには注意が必要です。

足しすぎると思わぬ効果が

お正月用の富士フイルムのCMは、長年、樹木希林さんが綾小路小百合という名で登場し、派手な振袖で、ごちゃごちゃおしゃれをすることが恒例になっていました。スポンサーから、華やかで、クスッと笑えるCMにとの注文があったそうです。
ある年、希林さんは初対面の新人のアシスタントディレクターから「あまりにも地味で希林さんだと分からなかった」と言われました。
「お化粧はしていないし、まったくアクセサリーも着けないんですね」
「そうよ。普段から綾小路しているわけではないの。普段の私はどう?」
「サッパリしていて素敵です。ほんとはセンスいいんですね」
彼は感心しきりで希林さんを眺めていたそうです。
「身振りや、変面(へんめん)が面白くしていると思っていましたが、場違いな飾りや、目立つアクセサリーをたくさん着けるだけで笑いを誘っているのですね」
アクセサリーは、あなたを生かしますが、壊しもします。あなたのアクセサリーにはどんな効果がありますか?

ただ いるだけで 美しいのです © K’s color atelier

今月のレッスン
物足りなさを感じたら、まず、笑顔を足しましょう。

 (「Are You Happy?」2023年5月号)

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