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子供のころから、言葉に気をつけよう〔子育て110番〕

3秒黙って考える

小学校の低学年のころのことです。母にこんなことを言われました。
「あなたは頭が回るし口も達者。でもね、口は禍(わざわい)の元。人に何かを言う前に、3秒黙って考えてみなさい。いま、自分が言おうとした言葉は、言っていい言葉かどうか。その言葉を言ったら、相手はどう思うか。3秒黙って考えて、言わないほうがいいと思ったら、黙って心にしまいなさい。3秒考えて、それでも言っていいと思ったら言いなさい。でも覚えておいて。一度相手の耳に入った言葉は、簡単には取り消せないのよ。これは、学校で百点取るより大事なこと」
そのころの私は、人に意地悪なことは言わなかったけれど、意地悪な子やケンカ相手には容赦がなかったかもしれません。舌鋒(ぜっぽう)鋭く相手をやり込めて泣かせてしまうようなところがありました。父にも、反論するときは鋭い言葉を使っていた記憶があります。
相手の胸にブスッと刺さるような言葉を使うことを「寸鉄(すんてつ)人を刺す」と言います。私は、相手をやり込めるような言葉(寸鉄)を思いつけることを、むしろ得意に思っていたのかもしれません。
母は、そんな私をいさめてくれたのだと思います。「3秒間、相手の気持ちを考えてみなさい」と。おかげで、次第に自分の発する言葉について考えるようになりました。

ゴールデン・ルール

自分がされて嫌なことは、人も嫌だと感じます。自分がされてうれしいことは、人もうれしいと感じます。自分も人も同じ神様の子だから、感じ方はみんな一緒なのです。私たち人間は、他の人の気持ちが分かるようにできています。だから、自分がされて嫌なことは、人にしない。自分がされてうれしいことを人にする。これがゴールデン・ルール(地球上のどこでも通用する考え方)です。
このゴールデン・ルールは、子供たちに必ず教えてあげたい大切な心の教えです。自分が相手の立場だったらどう感じるのかを想像する。自分の考えや立場や主張を一度横に置いて、相手の立場に立って考えてみる。これが行動の習慣になり、言葉の習慣になれば、大人になって対人関係で苦しむことはとても少なくなるでしょう。また、いろいろな仕事の場面で成功することが多くなるでしょう。

言葉を調えるといいことがある

現代は、SNSなどの普及で、言葉が罪を生む場面が昔より増えました。嘘や人を傷つける言葉は、対人関係でマイナスを生むだけではなく、実は自分の心を汚す行為なのです。これが本当はいちばん大きなマイナスです。人を傷つける悪い言葉を使えば使うほど、自分の心がどんどん汚れていき、心が光を失っていきます。
だから、子供のころから、言葉を調えることの大切さを教えてあげましょう。自分も人も幸せにする良い言葉を使っていると、心もきれいになります。光のこもったよい言葉は、幸福な人生を引き寄せます。積極的で建設的な言葉は、よい人生をつくっていきます。家族みんなで言葉を調えて、調和した家庭にしていきたいですね。ぜひ家族みんなで取り組みましょう。

(「Are You Happy?」2020年6月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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