見られない怖さ
「マスクで顔がほとんど隠れる生活は、息苦しさもあるけれど、気分的にすごく楽です」
と話す人がいました。ところが最近、様子が違います。
「鏡に映る顔が、だらけてきている気がして、マスクを取ったときのことが頭をかすめ、不安になるんです」
生理的変化も気になりますが、それ以上に怖いのは、人から見られないことです。連休明けのなまった身体のだるさを思い出してください。それと同じことが顔にも起こり、人に見られないでいると肌も怠けます。マスク使用前・後の差が顔にかなり出ることに、皆さん気づかれ始めたのではないでしょうか。
肌を空気に触れさせよう
マスクを着け続けると、湿気で肌はふやけ、毛穴は開き、皮脂腺は過剰分泌を起こします。この状態は老けに通じ、輪郭がダラッとしてきます。
近ごろは、傷があるくらいでは包帯をしません。ギプスや包帯をしていると、その部分の毛穴が大きく開いたり、かゆくなったり、機能が低下します。それほどにならないまでも、肌を空気に触れさせることは肌機能を正常に戻すために大事なことです。
マスクで弱くなった肌の手入れを始めましょう。家の中、人のいないところではマスクを取り、肌を休めます。
肌を引き締めるには、お風呂に入った後、冷たい水で洗顔し、その後、冷たい化粧品で毛穴が閉じるまでパッテングをすると良いです。
たるみを解消するには
顔のたるみを解消するためには、顔の筋肉を鍛えることが有効です。NHK大河ドラマに出演中だった野村萬斎さん、鶴田真由さんと、「顔がたるんできた気がする」という話をしていたとき、居合わせた大学教授の輪島直幸さんに、顔の筋肉について話を伺いました。彼は、NHKラジオ体操・テレビ体操に出演しながら、筋肉の正しい使い方等を指導されていました。マスクをしていると、多くの感情を目で受け止めるので、口輪筋(こうりんきん)を使うことが少なく、その状態はたるみに通じるのだそうです。表情筋が衰えるので、口輪筋を動かすのが良いと教えてくださいました。
「大きな口を開いて『あいうえお』と言ってください。声を出さなくても、大きく動かすだけでも効果はあります」
飽きてしまったときは、大きな口を開けて歌うのも良いそうです。
「テレビを見ながら、キャスターを相手に喜怒哀楽をハッキリ出し、大きな口を開いて相づちを打ってください。徐々に元の顔、輪郭に戻ります」
「噛みごたえのあるフランスパンを食べるなどでも良いのですか」
と、萬斎さんが尋ねます。
「OKです。頬や口を大きく動かす生野菜のステックなども良いですね」
サ行でたるみを防ぐ
また、森繁久彌さんは風邪でマスクをしているときも、早口言葉で顔の筋肉を整えられていました。
「特にサ行が良いね。脳も一緒に鍛えられるよ」
「さいしんしき えいしゃきでの ししゃかい」
「しょうさいをしらべた しゃないちょうさしょは ちょうさしつにある」
「しんしゃおくのしゅじゅつしつで しゅじゅつをおこなうことを しゅちょうした」
元NHKアナウンサーの森繁さんらしい対処方法です。
「くたびれて肌がたるんでも、口が回らなくなっても、そんなことお構いなしに、演出家は人間国宝を無茶に使うからね」
俳優は、見られるからこそきれいになり、注目されると自信がつき、さらに堂々とした立ち振る舞いができてきます。それは、皆さんも同じこと。マスクで隠していても、肌のお手当だけはしてください。
© K’s color atelier
唱えよう 若返りの おまじない
今月のレッスン
鏡に向かって喜怒哀楽を表現してみましょう。
(「Are You Happy?」2021年3月号)
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