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赤ちゃんや幼児との対話は「焦らずゆっくり」が大切〔子育て110番〕

赤ちゃんは、ほんとうはね……

前号では、赤ちゃんと目や言葉で対話しながら愛を育んでいきましょう、というお話をしました。
「赤ちゃんと対話ができるんですか? 何も分からないんじゃないでしょうか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、赤ちゃんはほんとうは、生まれてくる前は、みんな天国で大人の魂として過ごしていたのです。これまでも何度も地上に生まれては、人生経験を積みながら魂を成長させてきました。そしてまた、新しい人生経験を積むために、ママのおなかに宿り、0才からのスタートを切ったのです。
赤ちゃんは、まだまだ自己表現は上手にはできませんが、小さな体に宿っている魂には、一人ひとり、どの子にも豊かな七色の個性が輝いています。そして、どの子も「伸びていくぞ、頑張るぞ!」と思って生まれてきているのです。だから、赤ちゃんが発信する微弱でつたない自己表現を、やさしい心ですくい取ろうとしてみてください。目や言葉での対話は、まず、受容することから始まります。
ただ、対話は大切ですが、あまり焦ってもいけません。それを、私の成功と失敗の経験からお話ししましょう。

赤ちゃんが泣き止む抱っこと、子供を泣かせてしまう語りかけ

エンゼルプランVの教室で赤ちゃんが泣いていても、私は基本的には「赤ちゃんは泣くのが商売」と思って見ています。でも、あまりひどく泣き続けると、赤ちゃん自身にもママにもストレスがかかって大変なので、そんなときはにっこり笑いながらそっとそばに寄り、やさしく抱き上げて心臓のある左胸の上に抱っこします。
このときに、大人が一生懸命過ぎると、赤ちゃんはびっくりして余計に泣いてしまいます。こういうときは、息を吐き出しながら、まず自分の体の筋肉をリラックスさせます。そして、やさしく背中に掌てのひらを当てて温かい温度を伝え、「いい子いい子。いまは泣きたい気持ちなのね。よしよし。大丈夫よ」と心の中で語りかけます。すると、赤ちゃんも安心するのか、体のこわばりが解けて泣き止むことがよくあります。
これは、縁側で日なたぼっこをするおばあちゃんが持っているような腕前かもしれません。おばあちゃんは、一通りの人生経験を経て、酸いも甘いも噛み分けているので、焦らずに赤ちゃんを抱っこできるのです。亀の甲より年の功、若いママも焦らず、だんだんに身につけていきましょう。
さて、私がやりがちな失敗もあります。ある日、久しぶりに教室に来た1才ちゃんの瞳を見つめて「よくきたねー」とにっこり笑うと、1才ちゃんは固まって、やがて泣き出してしまいました。何気ない語りかけでしたが、おそらくそのときのそのお子さんにとって、私の眼差しや言葉の発信力は〝過剰”だったのです。そんなときは、焦って挽回しようとせず、あっさり「ごめんごめん」と謝って一度離れます。しばらく経ってから、空気のような感じでお子さんに寄り添い、お子さんの方からこちらに興味関心を持ったら、ちょっとずつコミュニケーションを始めます。
子供の個性はいろいろです。そしてみんなゆっくり成長します。ママも焦らず、お子さんの個性に合わせて、少しずつ成長していきましょう。

(「Are You Happy?」2019年3月号)

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