okano-beauty

「春前に見直したいこと」-岡野宏のビューティーレッスン

40年にわたりNHK美粧部に在籍し、国内外の女優や政治家などのメークアップに携わってきた岡野宏さんが考える「魅力ある人」とは? さあ、一緒に美しさへの一歩を踏み出しましょう。

 

厚塗りに見えていませんか?

春先、光が長く明るくなってくると女性のファンデーションの塗り方に目が留まります。男性に嫌われる厚塗りメークですが、塗り方次第で、薄づきメークのつもりが厚塗りに見られていたり、厚めに重ねていてもナチュラルで感じのよい仕上がりに見せることもできます。
  
春が来る前にファンデーションの塗り方を見直してみましょう。

 

厚塗りの原因と対策

年を重ねると、シミなどを消すコンシーラーにファンデーション、そしてパウダーを層にするので厚塗りになりがちです。メークしたてはきれいなのですが、重ねるほど崩れが早く、よれたメークはもの悲しさを呼びます。

厚塗りにならないためには、ファンデーションをスポンジに薄くつけ、一度で塗らずにぽんぽんと軽く叩き重ねて濃さを調整するとよいでしょう。叩くと肌にフィットし、ツヤが出て感じのよい印象に仕上がります。

シミなどを隠すときもスポンジでファンデーションを薄く叩き重ねますが、そうするとコンシーラーを隠す手間が省け、厚塗りが防げます。雑な塗り方をすると薄づきでも厚塗りの印象になりますので気をつけましょう。

そして皮脂の減る40代以上の化粧直しは、パウダーを使わずに朝に使ったファンデーションのついたスポンジで叩き直すのがおすすめです。私の担当する女優はメークルームで使ったスポンジをサランラップで包んでロケ先に持って行き、それをメーク直しに使って自然な雰囲気を保っています。人に会う直前の化粧直しでパウダーを顔全体に叩く方がいますが、若さに必要な顔のツヤを消してしまいかえって老けてしまうので、目の周りや、鼻の頭と下を軽くスポンジで押さえるだけにしましょう。 

 

厚塗りでもナチュラルに

さて、世の中には顔にあざや傷があり、厚塗りを必要としている人たちがおり、何度か相談を受けました。ご自身でできるよう指導するのですが、メークで傷やあざが見えなくなった顔を鏡で見てもらうと、しゃくりあげて泣かれました。
「美しくなくっていいんです。普通に見えれば」

傷やあざ、またシミなど隠すための厚塗りを、そう感じさせないようにするには、筋肉が動く目や口の周りのファンデーションを薄づきにしてヨレを防ぎ、シャドーや口紅などの色ものを控え目にします。つきすぎたパウダーは、何もついていないスポンジや筆で払い落とし、5分以上経ってからコットンに化粧水を含ませて押さえるか、霧をかけ、何もつけていないパフで押さえると、程よいつやが現れ、自然な雰囲気に仕上がります。

「化粧が厚く見える」と言われる方は、これらのことを試してみてください。肌色とファンデーションの色が合っていないのも、厚塗りに見える原因です。

 

心を動かす、厚く荒いメーク

ところで、画家の林武さんのアトリエで油絵の作品を見せてもらったとき、メークの世界に似ている部分を感じました。画面に筆やヘラの動きが見え、勢いのあるタッチがスカッとして気持ちよく、バラの花がイキイキ見えたのです。舞台用のメークはあえてタッチを荒くつくります。側で見るとどぎついですが、客席で見ると普通のメークでは見られない大胆で、かつ細かい感情が現れ、目的に合っていれば厚塗りの化粧もイキイキとした心を伝えてくれます。

女優の秋吉久美子さんは、気分がむしゃくしゃするときは、普段しないような荒いタッチの厚塗りで化粧をし、夜の公園でブランコに乗り大声で歌うのだそうです。
「そのあとメークを落とすと、スカッとするのよ。むしゃくしゃした気持ちも全部落ちるの」

ファンデーションは塗り方ひとつで、相手にも自分にも心に響くものが変わるのです。

岡野先生ー本文春前に

© K’s color atelier

「メークも心も軽く柔らかく。春はそこまで来ています。」

 

今月のレッスン
ファンデーションが薄塗りのときは大笑いしてもよいですが、
厚塗りには微笑みが似合います。

 
(「Are You Happy?」2018年3月号)

 


好評連載中
「岡野宏のビューティーレッスン さあ、はじめましょうか!」

アユハ2021年3月号表紙

第47回 「マスク老けを防ぐ」

(2021年3月号)

Amazonで買う

岡野宏先生

岡野宏 

1940年、東京都生まれ。テレビ白黒時代よりNHKアート美粧部に在籍。40年以上にわたり、国内外の俳優だけでなく歴代総理、経営者、文化人まで、延べ10万人のメークやイメージづくりを行う。“「顔」はその人を表す名刺であり、また顔とは頭からつま先までである”という考えのもとに行うイメージづくりには定評がある。NHK大河ドラマ、紅白歌合戦等のチーフディレクターを務め、2000年にNHK退所後は、キャスターや政治家、企業向けにイメージアップの研修や講演活動などを国内外で行っている。著書に『一流の顔』(幻冬舎)、『渡る世間は顔しだい』(幻冬舎)、『トップ1%のプロフェッショナルが実践する「見た目」の流儀』(ダイヤモンド社)、『心をつかむ顔力』(PHP研究所)等。

連載