音のない世界で見つけた希望〜ろう者の体験談〜

2016年公開の映画「聲こえの形」に続き、昨年はドラマ「silent」が大ヒット。1月からはドラマ「星降る夜に」が始まるなど、聴覚障害をテーマにした作品が増えています。世間の関心が高まりつつあるものの、聴覚障害についてはまだ知らないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、ろう者と健聴者が互いに助け合う社会づくりのヒントを探りました。

ろう者支援の専門家に聞きました

ろう者は日常生活のなかで、どんな苦労があるのでしょうか。自身もろう者として、多くのろう者やその家族を支援してきた植野圭哉さんに、ろう者と健聴者が支え合う秘訣を聞きました。

時代と共に変わってきたろう者への見方

聴覚障害をはじめ障害者の権利が国際社会で認められたのは、比較的最近です。1965年に国連で人種差別撤廃条約ができ、その流れのなかで「障害者権利条約」もできますが、それは2006年のこと。人種や性別での差別を撤廃しようという動きよりもずいぶん遅かったのです。日本では、障害者に関する法律が初めて制定されたのは明治時代です。ただそれは、「障害者はいじめられてかわいそうだから、家や施設に閉じ込める」という考え方のものでした。明治時代には、ろう学校も設立されます。ここで生徒同士のコミュニケーションのなかから手話が生まれてきした。大戦後は日本でも、少しずつ法的整備がされ、現在では「障害者への差別をやめ、本人の意向や希望に配慮する」といった考え方に移ってきています。現在はろう者であっても本人に働く意思があれば働けますし、以前はできなかったローンを組んで家を建てることや、遺言を作ることもできます。近年では国の方針として、「自助・公助・共助」というスローガンが掲げられています。自助はろう者自身の力で頑張っていくこと、公助は公的機関によって提供される援助、共助は地域で健聴者と力を合わせて助け合うこと。ろう者が自分で頑張るには一定のサポートが必要なので、この3つにバランスよく取り組むことが大切だと思います。(続く)

本誌では上記の続きと、下記の記事をお読みいただけます
聞こえない人たちのホンネ/健聴者ができるサポートQ&A
体験談①障害は人生を磨く砥石と思えるようになりました。
体験談②障害のある人生は悲しい運命ではないと知りました。
体験談③「神様に愛されている自分」に気づきました。

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