
将来を拓くチャンスでもあり、時に挫折も経験する受験。
子供の受験期に持っておきたいマインドについて、進学塾を経営する河内宏之さんにお聞きしました。
受験のプロセスで得られるものが宝物
受験は、親に面倒を見てもらっていた子供が初めて自己責任を経験する機会です。努力すれば努力した成果が出るということが自分で分かる。合否に関わらず、受験で得られるものが宝物なのです。もちろん私たちの進学塾でも、成績アップや合格は最も大切なサービスの一つですが、受験を通して人間性を磨いてほしいという願いが根本にあります。落ち込まない心や計画力、チャレンジ精神、継続力――。これらは子供が社会で成功するために必要な力であり、受験を通して養うことができるのです。
また、こうした考え方を親が持っていることも大事です。子供が模試で成績が悪かったとしても、一喜一憂せずにいられるからです。子供は親をよく見ていて、親が不安だと子供も不安になってしまいます。子供が小さいほど親の精神面の影響が大きいので、親が大らかでいることが、一番のマインドケアかもしれません。
親からの信頼と愛情で子供は伸びる
学力も含めて子供の力を伸ばすために親が一番大切にしてほしいことは、子供への信頼と愛情です。心配するけど心配しすぎずに、愛情をたくさん注いであげてください。言葉がけとしては、「頑張ったね」「大丈夫」などポジティブな言葉をかけるようにしましょう。生活面では、手作り弁当は最高です。おにぎり一つをにぎるだけでも、お母さんの愛情を感じるもの。「勉強しなさい」と言っても、子供は勉強しません。やはり、親が応援してくれる姿勢を感じると、子供は頑張れるのです。これは40数年塾をやってきた実感です。
うちでは20年ほど前から「お母さんありがとう大賞」という作文コンクールを開催しています。子供たちは親への感謝の気持ちをちゃんと持っていて、作文を読むたびに感動してしまいます。子供たちは素晴らしい力を秘めた〝ダイヤモンドの原石〞です。キラキラと輝けるようにサポートしてあげてください。
知っておきたい 受験事情
志望校は「校風」と「将来のビジョン」で選ぶ
志望校選びでは、まずは家庭の方針をはっきりさせることが先決。つまり、「この子をどんな子に育てたいのか」というご両親の願いです。決して偏差値だけで選んではいけません。学校によって強みや特徴、校風は全然違いますし、偏差値が高ければその子にとっていい学校であるとも限りません。学校説明会に行けば、校風、勉強環境、通っている生徒の雰囲気、方針、しつけが行き届いているかなどが見えてくると思います。
入試の評価方法は学校によって違う
例えば、栃木県の公立高校の入試では、今は約3割が推薦で決まります。残りは試験がありますが、その試験も内申点と合わせて評価され、どちらが重視されるかは県や学校によってバラバラ。大学受験では、私立大学が早期の生徒獲得のために推薦と総合型入試で多くの生徒を合格させています。多くの有名私立大学で、その割合が約5割と言われます。つまり、難関私大に推薦枠のある高校で成績を上位に保つ戦略もあるのです。
受験は激しく変化している
大学受験といえば暗記型の問題が多かったのですが、今は「読解力」「理解力」「記述力」など、「考える力」を評価されるテストになりました。それに伴い、中学・高校でも考える力が求められる入試になっています。ですから私たちは、将来の智慧の時代を見据え、「考える力を養う」中学受験をおすすめしています。暗記やテクニックではなく、考える力を身につける勉強をするので、もし落ちたとしても、その先、成績も知力も伸びるからです。
子供の受験への親の関わり方とは
中学、高校、大学それぞれの受験で、親の関わり方は異なります。中学受験であれば、子供はどうやって学校を選んだらいいのか分かりませんから、90%くらい親が関わるイメージです。高校受験では親と子供それぞれ50%くらいでしょうか。子供の意見も取り入れながら、見識は親の方がありますから、その後の進路をイメージしてアドバイスしましょう。大学受験は基本、子供が主体なので、親は裏方に徹しましょう。
(「Are You Happy?」2023年1月号)


河内宏之 かわちひろし
大学卒業後、銀行勤務を経て、1976年に栃木県で個人塾を開塾。現在は生徒総数約1万人を抱え、栃木・東京に74校を持つ。受験・合格実績県内No.1のみならず、「子供はダイヤモンドの原石」として行う人格教育が生徒と保護者からあつい信頼を得ている。


