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反省の大切さを知らないと、どうなるか。

崩れたジェンガ

もう十年以上前のことですが、あるテレビ番組でこんな実話の再現ドラマがありました。

中学生の子供を持つ二人の母親が、喫茶店で向かい合って座っています。一人の母親がこう言いました。

「別にあなたのアドバイスを求めているわけじゃないの。ここ数年、誰かに相談してはさんざん説教された。だから私の話を聞いたあなたが言いそうなことは分かってるし、あなたが何かを言ったところで、私は自分を変える気はないの。その前提で話を聞いてくれる?」

そう前置きしてから、前日の出来事を話しました。

「息子が自分の部屋でジェンガ(直方体のスティックを積み上げて崩さずに抜く遊び)をしていたらしいの。私がリビングで掃除機をかけていたら、突然『こっちに来い!』って怒鳴り声がして、息子の部屋に行くとジェンガが崩れていて、『掃除機をかけていたお前のせいだ! 直せ!』って言ったの……。小っちゃい頃は賢くてかわいかったんだけどね……」

当時、同じ年頃の子を持つ親として、テレビを見ながら胸が痛みました。同時に、反省ができないことは本当に恐ろしいことだと、強く思いました。

神様の願い

人は誰しも失敗するし、失敗して痛い思いをするからこそ「何がいけなかったのか」を考え、学習し、人間として成長することができます。未熟さや失敗を人から指摘されるのはつらいし、「そんなこと言わないでよ」とも思います。でも、耳に痛い指摘や助言の中に、自分を成長させてくれる宝が隠されているのです。そこから学べるかどうかで、人生は大きく変わってきます。

子供は純粋ですが、同時に未熟です。できないことや知らないことがいっぱいあるから、たくさん失敗するし、悪いこともしてしまいます。だからこそ、大人は子供に「反省すること」「失敗や助言から学習すること」を教えてあげる責任があるのです。

反省する心の大切さ

昨年末、大川隆法総裁は幼少期の子供と、そのパパやママたちに「反省する心の大切さ」というお話をされました。

反省は、お釈迦様が「生きていく上でいちばん大切にしなさい」と言われた教えです。人は間違いも失敗もたくさんするけれど、そのときに「あぁ悪いことしたなぁ」「こんなことしてはいけないなぁ」と思い、「ごめんなさい、もうしません」と言うことが大事です。

部屋が汚れたら掃除するように、服が汚れたら洗濯するように、失敗や間違いをしたら反省することが大事です。もし反省できなくて「自分のせいじゃない」「自分は悪くない」と言い張ってばかりいたら、何が正しいかを学べず、失敗から学習する姿勢も身につかず、心はだんだん汚れていきます。また反省ができないと、何でもかんでも人のせいや環境のせいにするようになりがちです。大切なのは、目上の人が教えてくれることを素直に聞く心です。

パパやママは、わが子の導き手として「反省する心」を教えてあげましょう。その際に、「ダメ」とだけ言うのではなく、「なぜダメなのか。どうすればいいか」を、根気よく丁寧に教えてあげるといいと思います。

 (「Are You Happy?」2021年4月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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