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子供たちの憧れのヒーロー
みなさんは幼いころ、どんなテレビやアニメを見ていましたか? お気に入りの主人公は誰でしたか? 私は魔法使いの女の子にも憧れましたが、いちばん憧れたのは、悪の帝王と戦う○○ライダーでした。「自分も正義のヒーローになって戦うんだ!」と思って、毎日お砂場でジャンプやキックの練習をしていました。かなり本気でした。
子供って、いつの時代も、愛と勇気の心で戦うヒーローやヒロインに憧れますよね。テレビやアニメの主人公たちは、変身できたり、魔法が使えたり、不思議な生き物の仲間がいたりと、お話の設定はさまざまですが、共通していることは、仲間や困っている人を助ける愛の心があること。そして、悪いものには立ち向かう勇気があること。子供たちは、大人に教えられなくても、自然とそれを「カッコイイ」と思い、憧れるようです。
ある人気アニメの主題歌の中に「愛と勇気だけが友だちさ」というフレーズがあるからでしょうか、子供たちは、「愛」や「勇気」という抽象的な単語でも、案外知っています。
ところで、みなさんは、子供から「ママ、勇気ってなあに?」と聞かれたら、どう答えてあげますか? 辞書には「勇気=勇ましい意気。ものを恐れない気概」と書いてありますが、これでは、大人だって何のことかよく分かりませんよね。
小学生以上の子供になら、「勇気っていうのはね、自分の弱い心や、怖がる心に打ち克って、行動を起こすことなんだよ」と言えば分かりやすいと思います。そうです、勇気というのは、誰かと戦うのではなく、まず自分の弱い心と戦って克つこと。そして、行動を起こすことを言うのです。
どうすれば、勇気が出る?
新学年になって新しいクラスメイトに自分から声をかけるのも、けっこう勇気がいりますね。「誰か自分に声をかけてくれないかな~」と待っている子が半数近くかもしれません。ポイントはそこです。もしわが子が新しいクラスで友達ができるかどうか悩んでいたら、「みんなあなたと同じで、誰かが声をかけてくれるのを待ってると思うよ。ちょっとだけ勇気を出して、自分から笑って声をかけてごらん。『一緒に行こう』って言ってごらん。『案ずるより産むは易やすし』って言ってね、あれこれ考えるより、実際やってみたら簡単だったってことはよくあるのよ」。そう言って励ましてみてください。
勇気って、どうすれば出てくるのでしょうか? 勇気は、じっと待っていても湧いてこないし、心の中でグルグル考えていても出てきません。勇気は、ほんの一歩、いえ、半歩だけでも自分から行動することで出てくるのです。
慎重でいろいろ考えるタイプの子供は、何かをする前に「失敗したらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」と考えて、最初の一歩がなかなか踏み出せないことがあります。そういう子には、大好きなテレビやアニメの話をして、愛と勇気のヒーローのことを思い出させてあげてください。
小学生以上なら、偉人や光の天使が勇気を出して活躍したお話もいいですね。人は、憧れているものに近づこうとする心を持っています。その憧れの心が、子供に勇気の一歩を踏み出させてくれるかもしれません。
(「Are You Happy?」2020年4月号)
奥田敬子
早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。