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言葉遊びとちょっと気になる言葉の使い方【子育て110番】

替え歌とオシリとオヘソ

「灯りをつけましょ 爆弾に~ ドカン! と一発 ハゲアタマ~、ゴーニンバヤシがふっ飛んだ~ 今日は楽しいひなまつり~」
その昔、ひなまつりの替え歌を元気に歌いながら息子が幼稚園から帰ってきたとき、「おや、変わった歌を仕入れてきたぞ。男の子だなぁ」と思ったものです。ところが4つ下のおとなしい性格の妹も、同じ園に通い始めて間もなく、この歌を覚えてきました。
男の子も女の子も、幼稚園の年中さんぐらいになると「言葉遊び」を楽しみ始めます。特に男の子はちょっと乱暴なぐらいの言葉が刺激的で面白いのです。「爆弾」「ドカン」「ハゲアタマ」「ふっ飛んだ」の部分は特に大声だったので、そこが面白いのでしょう。爆発でふっ飛んでしまうゴーニンバヤシが何かは分かっていないようでしたが……。
それから、幼児はオシリやオヘソ、ウンチも大好き。お教室の開始時間になってもなかなかお席に着けない子供たちに、「ハイ! みんなのオシリにー、クルクルっとのりをつけてー、ペタッとおイスに座りましょう。もうオシリがおイスから離れません」と動きを交えて言うと、どの子もピタッとおイスに座ります。
子供たちがきょろきょろして気が散っているときは、「みんなのオヘソはどこにありますか~? ちゃんとおなかにあるかな~? あ、あった! よかったねー。じゃあ、お鼻の頭とオヘソを先生の方に向けましょう」と言うと、みんなが先生を見ます。オシリやオヘソは子供の注目ワードなので、上手く使うと子供を集中させることができます。
ウンチは学習用ドリルのネーミングに使われて、かなり市民権を得たようですね。幼稚園のころは言葉の敏感期ですから、面白そうな言葉をどんどん仕入れてくると思います。それも成長の一つだと思って、大目に見るぐらいでちょうどいいんじゃないかなと思います。
ただし、お友だちに向かって「ウンチー」と言ったり、お友だちが傷つくような使い方をしたときは別です。「そういう言い方は、お友だちが嫌な思いをします。キミもお友だちに言われたら嫌でしょ? だからやめましょう!」と毅然と導きます。これは単語の問題ではなく、使い方の問題です。自分が言われて嫌なことは人にも言わない。それは幼い子供でも分かるので、その場で教えてあげるのがいいでしょう。

本当に眠い?

ちょっと気になる言葉があります。それは「眠い」です。実は子供は自分の眠気に鈍感です。だから食事のときや遊んでいるときに突然眠るし、本当に眠いときは「眠い」と言わずに泣きぐずります。ところが「さあお片付けの時間ですよ」と言うと、急に「眠いー!」と言って寝転がる子がいます。もしかしたら、「眠い」と言ったらイヤなことから逃げ切れることをおうちで学習したのかもしれませんね(笑)。そんなとき私は、ニヤリと笑ってサクッと切り返します。「眠くない。今まで遊んでたもんね。さ、お片付けしましょ」。子供は、「この人には通用しない」と分かると、諦めてしぶしぶでも片付けを始めます。子供って案外合理的なんです。
大目に見るところと、毅然と導くところ、見極めが難しいですが、参考にしてみてください。

(「Are You Happy?」2020年4月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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