自分も周囲もハッピーに
20代の方でも、男性でも、年齢より若く見られるのは、うれしいことのようです。この数年、80代、90代でおしゃれと言われる人たちがSNSや写真集で話題になりますが、彼らに共通していることは、若づくりをしていても嫌な感じがしないところ。
そして皆さんハッピーな雰囲気をお持ちのところで、それは彼らが若づくりを熟し、自分のものとして見せているからです。うまい若づくりは自分に自信が持て、周囲をハッピーにしてくれます。
まずは自分が楽しむ
博品館のショーに出かけ、楽しいひとときを共に過ごしたイラストレーターの水森亜土さんは、ぶかぶかのつなぎにチェックのシャツ、金髪に大きな鳥打帽子、どんぐり目にそばかすいっぱいのかわいい顔の見せ方で、楽しいオーラを周囲に振りまいていました。街中を歩いていると、彼女を見つけた女性たちが「亜土ちゃーん」と駆け寄ってくるのですが、その人気は、ちょっとした女優ではかなわないほどで、亜土さんの「自分で楽しくないことは、人にも見せない」という素敵な考え方は周囲にも伝わり、若い人を惹きつけています。
もう一人、個性的な若づくりをされるのが、ピアニストのフジコ・ヘミングさんです。彼女の、櫛など入れた様子のない金髪の逆毛を直そうとしたとたん、
「あなた、なにするの。そこが若返りの大事なところよ」
と言われました。そこにつける髪飾りが凝っていて、レースがついたリボンや、ビロードにビーズがついているものなど、ポイントとして成り立っています。
好きなものを身につけて舞台に出たいそうで、お気に入りのドレスを重ね着されるのですが、表舞台に出た当初は、その身なりを周囲から叩かれたと聞きました。
そんな彼女がカンパネラを弾き始めると、衣装の異様さが情熱的なかわいさに変化します。弟のウルフ大月さんによると、パリの蚤の市などで、舞台でつける飾り櫛を探す彼女は、スポットライトのなかの自分を想像して、夢見る状態になっているそうです。
目的がある若づくりは、見る側も楽しく、見苦しくならないものです。そしてやはり、自分自身がそれを好きであることが大切で、「好き」は人の中のかわいい部分を引き出し、ますます若返るのです。
好きは自信につながる
デザイナーの高田賢三さんのデザインした服は、「かわいらしくて身につけると若返る」と、初めにパリで、その後、日本で大変評判になりました。
なぜKENZOの物を身につけると若返るかというと、賢三さん自身が若づくりが大好きで、演出するのがうまかったからでしょう。
彼の若さの演出に欠かせないのが色使いです。パリに居を構えた彼の家に伺ったことがあります。アパルトマンの最上階にある部屋では聚楽壁(じゅらくへき)が使われ、中庭の池では錦鯉が泳いでいました。日本庭園の向こうには、エッフェル塔やサンジェルマンの街並みが望めます。KENZOの大正時代の子供の着物の柄や、パリのエッセンスが組み合わさった花々の作風を彷彿とさせるその住まいは、彼の好きなものが詰まっていました。
制作中のデザイン画を手に取り、賢三さんがおっしゃいました。
「この間、乗った飛行機の座席シートに見つけた色なんです。素敵でしょ」
身近なところから素敵な色を見つけるアンテナの張り具合はさすがです。ニコニコされた賢三さんの服の裏地や襟元にも、彼の好きな色が散りばめられていました。
好きな物は、気持ちをハッピーにし、それが積み重なると、その人の味になり、自信がつくようになります。
あなたの「好き」はなんですか? 今一度、見直してみてください。
© K’s color atelier
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