ゲームの何が問題なのか
子供のゲームに関するお悩み相談の件数は非常に多く、その内容は「子供にゲームを買い与えてよいかどうか」「一日30分(または1時間)までという約束を子供が守らない」「一日何時間もゲームにのめり込んでいて、止めさせようとするとキレる」のいずれかです。親が知っておくべきゲームの問題点をここで整理しましょう。
論点①【子供の未発達な自制心と、ゲームの持つ中毒性】
ゲームは、大人が気晴らしに楽しむにはいい道具かもしれません。世界的なトップアスリートにもゲーム好きは結構います。ただ彼らには「世界一を目指す」という人生の第一目標が明確にあります。そして、常人ではできない厳しい訓練を日々最優先に行っています。そんな彼らが余暇にゲームを楽しむのは、リラックス効果というメリットさえあるかもしれません。アスリートでなくても、成熟した大人なら、理性や自制心がある程度育っているので、自分にブレーキをかけることができます。また、大人は子供と違って働いて稼いで生計を立てなければならないので、翌日の仕事のために徹夜でゲームをするわけにもいかないし、時間になれば出勤しなければなりません。大人には心の中と社会の両方からブレーキがかかります。
しかし、子供は理性や自制心がまだまだ未発達な段階にあり、大人と同等のブレーキは持っていません。しかも自由になる時間も多いです。ゲーム=悪というわけではありませんが、ゲームには不思議な中毒性があり、遊び方をコントロールすることが難しい玩具だと言えます。子供たちがそういう玩具を与えられたら、自分で自分にブレーキをかけて時間の約束を守ることは難しいでしょう。だから、「一日30分」の約束をするのなら、子供の側ではなく、親の側に「約束を守らせるだけの強い信念と行動」がなければならないでしょう。もし、お父さんにもお母さんにもわが子に約束を守らせる自信がないのなら、そもそも買わないという選択肢もあります。また、子供が「一日30分」という親との約束を破ることが常態化すると、親も子も「自分の弱さや欲望に負けていく」というマイナスの経験を毎日積んでいくことになります。その結果、優れた人格を形成するために大切な「理性」や「自制心」「忍耐力」「克己心」などの育成をゲームが邪魔するということも考えられます。
論点②【豊かな知性や情操を育むための時間が、相対的に減っていく】
人間は、みんな神様から平等に時間を与えられています。その時間をどう使ったかで、その人の人格や人生が決まっていきます。特に20歳までは、将来のために自分を鍛えたり成長させたりするための大事な時期です。ゲームをしている時間が長くなると、相対的に、勉強時間や読書の時間、深い思索をする時間、心の中に美しく豊かな情操を育む時間が減っていきます。その結果、自分の内面を豊かにする時間をたくさん過ごした子供に比べて、思考力や精神性が粗くなったり浅くなったりするかもしれません。こうした可能性もあらかじめ考えておきましょう。続きの論点は、次回の後編で。
(「Are You Happy?」2018年9月号)