口の中から若返る5 つの“美習慣”

日本アンチエイジング歯科学会の理事として、さまざまな女性の歯のお悩みを解決してきた佐藤由紀子先生に、口もとのアンチエイジングケアや、ご自身が目指している本当の〝美しさ”についてうかがいました。(「Are You Happy?」2016年9月号)

 

人生の変わり目には“笑顔の力”を

アンチエイジング歯科医師として、大勢の口の悩みを聞いてきた佐藤由紀子先生。なかには、歯の悩みで大きく自信を失っている方もいるとか。

「ある女性は、甥っ子に歯の悪さをからかわれ、〝子供を産んだら、自分の子にもバカにされるかも”と悩んでいました。歯並びをきれいにしたところ、よく笑うようになり“子供が欲しい”と自然に考えられるようになったそうです。

〝人前に出る仕事がしたい”〝結婚したい”など、人生の変わり目に歯を美しくしようという方は多くいらっしゃいます。たかが歯の問題と思う方もいるかもしれませんが、歯にはその人が今まで生きてきた物語が詰まっているんです。

ただ歯を治すのではなく、悩みを解決することで幸せになっていただきたい――。そんな思いで治療に臨んでいます。どんな悩みの中にも幸せの種があるということを、この仕事を通じて伝えていきたいんです」

 

美しさは幸せのために

今年62歳とは思えない佐藤先生ですが、「若さ」について悩み、心が揺れた時期もあったそう。

「30代後半のころ、〝自分はもう若くない、美しくない”と自信を失ってしまったことがあります。プチうつ状態になり、当時はつらかったのですが、その経験があったからこそ、外見だけではなく内面の美も磨かなくてはならないと気付いたのです。

若さや外見の美しさ、ステータスなど、目に見えるものを自分の自信にしていても、年を重ねるごとに衰えていくもの。本物の自信を持った女神のような女性は、外見の美しさだけでなく強さや明るさ、優しさを持っています。その思いが、表面的なスタイル(立ち居振る舞い)やスマイル、スピーチ(言葉)に溢れているからこそ、いつも輝いているのでは?

私自身もそういう人を目指したいですし、歯科の力で女性たちに勇気を与えていきたいと思っています。〝美しさは人の幸せのためにある”というのが私の信条です」

 

5つの“口もと”美習慣

口もとを美しくすれば、全身若返る! 現役アンチエイジング歯科医師が実践している、5つの美習慣をご紹介します。

1.自分の口もとに意識を向ける

夢を叶える女性は、“笑顔”の力を使っています。美しい笑顔を作るうえで、「口もと」は大きな働きをしますが、意識していないと口の健康や美しさはあっという間に損なわれてしまいます。「美」も「健康」も「若さ」も、自分には関係ないと思った瞬間に遠ざかってしまうもの。鏡でよく自分の口をチェックし、セルフケアや歯科医院でのメンテナンスを怠らないことが大切です。

2.口の中の善玉菌をコントロール

歯周病になると、口の中の歯周病菌が毛細血管に入り込んで動脈硬化や心筋梗塞など、重大なリスクを引き起こしてしまいます。口の中は細菌が繁殖しやすい場所のため、正しいお口のセルフケアで悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことが大切。栄養バランスに気を配りながら、発酵食品や食物繊維など善玉菌を増やす食べ物を多く摂りましょう。

3.口呼吸ではなく鼻呼吸を

口呼吸をしていると常に口が開いた状態になり、口内が乾燥し細菌が繁殖しやすくなります。気がつくと口がポカンと開いている方は、口と舌の筋力を鍛えてみましょう。おすすめは、リウマチ治療の名医・今井一彰先生が提唱している「あいうべ」体操。鏡の前で口を大きく「あ」、「い」、「う」、の形に開いてから、「べー」と舌を下方に伸ばす簡単な体操です。毎日繰り返すことで筋肉が鍛えられ、口がしっかり閉じるようになりますよ。

4.食いしばりを止めて正しいポジションに

口を美しく保つにはストレスのコントロールも大切。舌のふちの歯型や、頬の内側の一本筋は、常に歯を食いしばっている証拠です。日常的に食いしばっている人は、血流が悪くなって肩こりがひどくなったり、ほうれい線が深くなったりしてしまいます。歯は少し浮かせ、舌は英語の“L”を発音するときの位置に置いておくのが、体がもっともリラックスできる安静位です。

5.よく噛んで、口内の“美容液”唾液を出す

唾液の中には、通称パロチンと呼ばれる若返りホルモンが含まれています。食べ物をよく噛み唾液を出すことで細胞の隅々まで送られていき、体を若くしてくれるのです。よく噛むことで脳への血流量が増える効果もあり、認知症の予防にも。ひと口で約30 回しっかり噛み、食事に20~30分かけることで満腹中枢が働き、食べ過ぎを防げます。

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佐藤由紀子 

ナグモ歯科 赤坂クリニック 副院長

日本アンチ エイジング歯科学会理事、日本歯科審美学会評議員。実弟のDr.南雲吉則の ナグモクリニックでアンチエイジングドック歯科を担当。1954年、日本の美容外科の草分け南雲吉和博士の長女として生まれる。1978年、日本大学歯学 部卒業。1979年、ナグモ歯科赤坂クリニックを夫と開業。独自の歯科カウンセリングについて全国で講演。テレビ朝日「BeauTV~VoCE」に出演。 1男1女の母。趣味は読書と日舞。

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