0才ちゃんとサバイバル
産後1週間が経って、わが子と一緒に自宅に戻った日のことを、今でもよく覚えています。
玄関に入るや否や、慣れない手つきでおむつを替え、「おなかがすいたよぉ」と泣く赤ちゃんに、一息つく間もなくおっぱいをあげ、「それでは足りないよぉ」と泣き続ける赤ちゃんの声におろおろしながら、急いで哺乳瓶を消毒し、調乳し立ての熱いミルクを「は~や~く~さ~め~て~」と祈りながら流水で冷まし、やっとミルクを飲ませて寝かしつけ完了。そのまま自分も倒れ込むように眠り、でもすぐに泣き声で目覚め、またおむつ → おっぱい → ミルクの繰り返し。名付けて「怒濤の新生児3時間サイクル」。
母親学級で予習はしていたけど、まさかこんな日がやってくるとは夢にも思わなかった!
こうして、「とりあえず今日を生き抜く」だけのサバイバルな日々が始まったのです。それはまるで、洗濯機に放り込まれた洋服のように、訳も分からずぐるぐる回るだけの毎日でした。
0才ちゃんは神秘的
それから2~3カ月経つと、新米ママにも少しの慣れと少しの余裕が生まれてきました。「そうか。子どもが寝ている間に家事をやろう、自分のことをしよう、録画したドラマを見ようなんて欲張るからイライラするんだ。ここは開き直って、この子と一緒に寝て、この子と一緒の時間を楽しもう」、そう考えて、3カ月のわが子との生活を楽しみ始めました。
すると次第に、わが子の表情やまなざし、手の動かし方のちょっとした成長などが分かるようになりました。個性的な部分も見え始めました。例えば、哺乳瓶のミルクをスゴイ速さで一気飲みする。おなかがすくとすぐ泣くけど、おむつの汚れはへっちゃら。ママが好きな本の話をすると、分かったような顔でおおらかに笑う。
そういえば、出産前に立ち寄った大型書店の育児書コーナーには、「子供の性格は親の教育次第」「0才児からの英才教育」といった刺激的な言葉がたくさん躍っていて、まるで赤ちゃんは大人の意思でどうにでもなる、という感じだったけれど、生まれてきたわが子は、決して真っ白なキャンバスではありませんでした。小さな体の中に尊重すべき個性が輝いていました。それは、とても神秘的で幸福な発見でした。
2人目の子は本当によく泣きました。ママが見えないと泣く。少しの物音で泣く。「どうしてこんなに手がかかるんだろう」と悩みましたが、良い育児書の中にこんなことが書いてありました。「よく泣く敏感な赤ちゃんがいます。ママは『どうして?』と思い詰めずに『あなたは敏感ちゃんなのね』と受け入れて、刺激を少なめにして、泣くたびにやさしく抱っこして安心を与えてあげましょう。やがて感性豊かなお子さんに育ちますよ」。その言葉に肩の力が抜けました。
0才児のママさん、背中がこわばって呼吸が浅くなっていませんか? そんな時は深呼吸してみてください。酸素と光が体に入り、あなたの体をよみがえらせます。0才児はか弱く見えますが、どこか神秘的な光を放っていて、生きよう、育とう! という強いエネルギーを持っています。その力を信じて、ゆったりおおらかに育てましょう。
その1はこちら
(「Are You Happy?」2018年12月号)