西洋に宿る美の歴史

いつの時代も“美のトレンド”を生み出し続けてきた芸術。人々の心に豊かさや神の愛を伝えてきた西洋の画家たちの作品を切り口に、美の表現の変遷をたどります。 

サンドロ・ボッティチェリ

Sandro Botticelli (1445―1510)

天上界の愛と 美しさを表現した宗教画家

4世紀のイタリアで始まったルネサンス。画家たちはメディチ家などの金融王をパトロンに持ち、才能を大いに開花させました。ボッティチェリもそのひとり。プラトン・アカデミー(主にプラトン哲学の議論を行った研究所)に加わるほどの知識人でもあったそうです。彼の代表作《ヴィーナスの誕生》には、「愛の純粋さ」と「天上の愛」を象徴したヴィーナスが描かれ、宙からは、ヴィーナスの聖花・バラが降り注いでいます。

 

ミケランジェロ・ブオナローティ

Michelangelo Buonarroti (1475~1564)

“神のごとき”才能を発揮した巨人画家

画家、彫刻家、建築家と3 つの顔を持った盛期ルネサンスの画家・ミケランジェロは、群を抜く描写力と、自らの宗教的信念を作品に込めました。サン・ピエトロ大聖堂内にある《ピエタ》は、イタリア語で「深い信仰にもとづく哀しみ」という意味。イエス・キリストが処刑され、十字架から降ろされたわが子をかき抱く聖母マリアが題材です。まるで石とは思えないほど柔らかな曲線からは、彼の卓越した才能が伺えます。

(「Are You Happy?」2016年1月号)

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