5月14日に公開される映画『美しき誘惑―現代の「画皮」― 』で、主人公の若き政治家・塩村太郎を演じた市原綾真さんに、初主演作への意気込みや撮影秘話などを伺いました。
初主演作は、すべてが手探りからのスタート
昨年は立て続けに3本の映画作品に出演した市原綾真さん。そして今年5月、満を持して『美しき誘惑―現代の「画皮」―』で、長谷川奈央さんとW主演デビューを果たす。本作で市原さんが演じるのは、九尾の狐に取り憑かれた現代の「画皮(がひ)」である女性に心を奪われ、欲望と志のはざまで悩み葛藤する若き政治家と、その過去世である僧侶の二役だ。
「主演が決まったと告げられたときは、〝分かりました!〟と、ただただ受け止めることで精いっぱいでした。主演としてやるべきことや、求められることも、まったく分からない状態でしたので。脚本を読むと、『画皮(がひ)』や『妖魔(ようま)』、『九尾の狐』といった聞き慣れない言葉が並んでいて、読めば読むほど謎が深まっていくんです。すべてが手探りからのスタートでした」
その後、映画のイメージソングである「法力(ほうりき)」を歌うことも決まり、撮影に先立って行われるレコーディングへの準備が始まった。
「まず『法力』という曲名を見て〝うわっ!〟っとなりまし(笑)。ものすごい曲を預かってしまったなと。人類普遍の教えを含んだ歌詞で、これは生半可な気持ちでは歌えないと思いました。歌詞の中に、貪・瞋・癡・慢(とん・じん・ち・まん)などの煩悩が入っているんです。楽曲への理解を深めるためにはまず、この歌詞に沿って六大煩悩の反省に取り組むといいんじゃないかとアドバイスをいただいたので、仏教理論の経典の学習とともに、反省行に取り組んでいきました」
自分の中の画皮性に気づいた瞬間
そして臨んだ「法力」のレコーディング。しかし市原さんは、そこで大きな自己変革を迫られる。
「最初に総合プロデューサーの竹内久顕さんに歌を聴いていただいたときに、“言葉(歌詞)が何も伝わってこないよ”と言われたんでで。“自分がつかんだものしか人には届けることができないんだよ”と。
自分では全身全霊で歌っているつもりでしたが、心を深く見つめていくと、自分を良く見せたい、人に良く思われたいという思いから、背伸びをして“悟りを演じようとしていた”ことに気が付いたんです。
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▶ 政治家・塩村太郎の役作りへの取り組み
▶全身全霊で演じたラストシーン
▶ 人の心の動きを目に見える形で描写している映画