「叩かないこと」と「他の方法で伝えること」をお子さんに教えてあげてください。
大人社会の中では、「人に手をあげる」行為は普通ありえないことですよね。その常識に慣れたママが、わが子からパンチをくらうと、痛みよりも心のショックが大きくて、泣きそうになります。叩かれた場所が顔や頭ならなおさらで、たとえ愛するわが子といえども、腹が立って本能的に叩き返したり、邪険にあつかったり。その自分の行為に、また落ち込むことになります。
これは、エンゼルプランVの1~3才児のクラスでも時おり見られる光景ですが、お子さんの年齢(発達段階)によって、対応は大きく変わります。
お子さんが1才~2才半前後なら、私は、ママの代わりに子どもに向き合い、両手をやさしくにぎり、目を見つめてにっこり笑った後、こうお話しします。「ママに何を伝えたかったのかな? 大丈夫だよ。叩かなくても、お目めと言葉で伝わるよ。だから、叩かないで、『ねえママ』って言ってごらん」。この月齢の子どもは、言葉が未発達なので、意思が伝わらないイライラがつのって暴走することがあります。たいていは、いちばんわかってほしい人、叩いても愛情が変わらないと本能で信じている人、つまりママだけを叩くことが多いようです。
この知識があれば、ママの心にシールドが張られ、傷つくことなく冷静に子どもに向き合うことができます。「叩かないこと」と「他の方法で伝えること」をお子さんに教えてあげてください。
(「Are You Happy?2011年7月号)
奥田敬子
早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。