HSUで理念経済学や金融論を教える鈴木真実哉ディーンに、監視社会の危険性と「自由」の大切さについて伺いました。
マイナンバー制度で失う財産と自由
現在、政府は「給付金をスムーズに渡すため」という大義名分のもと、マイナンバーと銀行口座のひも付けを義務化しようとしています。義務化されれば、国民一人一人が預貯金をいくら持っているのか、金融機関名から定期預金なのか普通預金なのかまですべて把握されます。これは「財産の監視」です。また、新型コロナの感染対策としてキャッシュレス決済も推進されていますが、これも政府がお金の動きを把握しやすくするためです。
これらの真の狙いは「貯金税」でしょう。政府はこれまで政権維持のために散々バラマキを行ってきましたが、その財源は、国債の発行、つまり政府が国民から借金をすることでまかなっています。通常、借金をするには返済能力がなければいけませんが、政府の場合、その指標となるのが、政府の年収である「税収」です。しかし、国債は約1100兆円(2019年末時点)に上り、税収の約63兆円をはるかに超えています。
第二段階となる指標は、1年間に国民が生産する付加価値である「GDP」です。生産した分だけ借金したということならまだバランスが取れますが、これもすでに超えています。
そこで狙っているのが、国民の「預貯金」と企業の「内部留保」で、合計すると2千数百兆円あり、これがあれば返済できるという発想です。この国民の財産にどう手をつけるかということで考えられるのが、貯金税の導入なのです。これは完全に「財産権」の侵害になります。所得税と法人税ですでに税金は支払っているのに、その残りの部分にも課税してくるのは、国家による泥棒行為と言えるでしょう。
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