デトックスで、心も身体も美しくいたい――。
体内に老廃物がたまるように、放っておくと、心の中にも老廃物や毒素がたまっていきます。
その代表的なものが、仏教で「心の三毒」と呼ばれる「貪(とん)」「瞋(じん)」「癡(ち)」。
この3つが、心の毒素の7割を占めるとも。
あなたにも思い当たるもの、ありませんか?
貪(とん)
食べ物やお金、異性、地位、名声などを、分不相応に「欲しい、欲しい」と思う心、過ぎた欲、貪欲(どんよく)のこと。どこまでも心が満たされず、苦しい。
瞋(じん)
ハリネズミのように反射的にカッと怒る心、短気、イライラ、恨(うら)み心など。強烈な怒りは他人や自分の心を傷つけ、ガンなどの病気の原因になることも。
癡(ち)
愚痴(ぐち)や不平不満でいっぱいの心。また、人生の真理、物事の道理に対して無知で愚(おろ)かなこと。そのため、正しい判断ができず、誤った道を進む。
あなたの「心の三毒」診断
仏教の「心の三毒」の教えをもとに、あなたの心に潜む「毒」を分析してみましょう。
知らず知らずのうちに毒素が溜まっているかも!?
Check 1 思考パターン
□ 自分よりキレイな人がいると妬ましく感じる(♥)
□ たいした理由もなく何もかもが嫌になることがある(♠)
□ 頭に血が上ると自分でも怒りがコントロールできなくなる(♦)
□ 少々ずるい手を使っても、人より早く出世したと思う(♥)
□ 自分が不幸なのは、会社や政治のせいだと思う(♠)
□ チャリティをする理由は、「セレブみたいで格好いいから」(♥)
□ 自分が生きている意味はないと思う(♠)
□ 友人が自分よりいいものを持っていると悔しい(♥)
□ 思い出すだけで腹が立つ出来事がある(♦)
□ 人間、死んだら終わりだと思う(♠)
Check 2 行動パターン
□ ほとんど着ないのに、毎シーズン、ブランド品を買いあさってしまう(♥)
□ 優柔不断で迷いに迷って、結局、結論が出ないことが多い(♠)
□ 欲しいものがたくさんあり、お金がいくらあっても足りない(♥)
□ 反射的に怒鳴ったり、手が出たりする(♦)
□ 自分の思い通りにならず、いつもイライラしている(♦)
□ 食欲をコントロールできず、急激に太る傾向がある(♥)
□ 同じ失敗を何度もくり返す傾向がある(♠)
□ 自分では怒っているつもりはないのに、「怒らないで」とたしなめられる(♦)
□ すぐカーッとなり、高血圧である(♦)
□ とにかく愚痴っぽい(♠)
Check 3 人間関係の傾向
□ 夫婦ゲンカや親子ゲンカ、嫁姑の争いを抱えがち(♦)
□ 自分が不幸なのは、育った環境や家族のせいだと思う(♠)
□ 根に持つタイプで、3年以上恨んでいる人がいる(♦)
□ なぜか恋愛は、三角関係や不倫、二股などが多い(♥)
□ 他人の恋人を奪ったことは一度や二度ではない(♥)
□ 心の中で、よく嫌いな人を傷つけては自分をスッキリさせている(♦)
□ 理由はわからないのに人から嫌われてしまうことがある(♠)
Check 4 言葉の傾向
□ 「棚からぼたもち」「濡れ手に粟」という言葉に、つい魅かれてしまう(♥)
□ 「自己啓発」や「自分磨き」にはあまり興味が湧かない(♠)
□ 「和をもって尊しとなす」という言葉には抵抗を感じる(♦)
チェックした項目の記号を合計し、それぞれのマークの個数を、三角形の中心をゼロとしてそれぞれ書き込み、3つのポイントを結んで三角形を作ってみましょう。
♥は「貪(欲望の心)」
♦は「瞋(怒りの心)」
♠は「癡(愚かな心)」
の傾向性を表しています。
診断結果
心の三毒は生きている限り、どうしても出てくるものです。
大切なのは、放っておかずにこまめに点検して、解毒(デトックス)すること。
お肌やボディ同様、心も大切にケアをして、今よりもっとキレイでハッピーなあなたに!
♥「貪」の解毒法
貪の反対は……足ることを知る心、与える心
貪が強い人というのは、ひと言で言えば、「欲張り」な人です。周りから見たら一目瞭然ですが、自分では気づきにくいのも特徴のひとつ。解毒に際しては、自分の実力を客観視して、足ることを知ることが大切になります。
たとえば、毎日健康であることや、食べる物があること、住む家があること、家族が健在なことなど、普段は見過ごしがちな“幸せ”を発見して喜び、感謝をしてみましょう。
また、「洋服代は月○円まで」「おやつは1日○キロカロリーまで」など、自分なりのルールや目標を決め、守れたかどうか、毎日寝る前にチェックするのもおすすめです。
Step up !
マイナスをゼロに戻したら、さらにプラスを目指しましょう。たとえば、自分以外の人によいことがあったとき、妬んだりケチをつけたりせずに「祝福」する。さらに、ボランティア活動に参加する、人助けを心がけるなど、「愛を与える心」を持てば、ハッピーオーラが輝く心美人に。
仏教ミニ知識
仏教では自分で立てるルールや目標を「戒(かい)」、組織や社会の共通のルールを「律(りつ)」と言います。
♦ 「瞋」の解毒法
瞋の反対は……平静心
心を湖面にたとえると、瞋とは湖面が激しく波立った状態。凪いだ状態に戻すには、たとえば、毎日寝る前に、「凪いだ湖面」や「光り輝く満月」を心に描く、アロマやヨガ、半身浴をするなど、自分なりの心のリセット術を持つとよいでしょう。
怒りが込み上げてきたときの応急処置としては、「深呼吸をする」「心の中で1から10まで数える」という方法も。また、高血圧や便秘などの体調不良が原因で、イライラが増していることもあります。心と体は連動しているため、体調管理も忘れずに。
Step up !
恨みや憎しみをためこむことは、自分にとっても損なことです。不幸感覚が増し、表情も険しくなり、ときには体調を崩すことも。恨みや憎しみは、岩に刻むように心に刻むのではなく、水に字を書くようにサラサラと流していくことです。「恨み心で恨みは解けない」と自分に言い聞かせ、手放していきましょう。
仏教ミニ知識
平和で凪いだ心とは、仏教で言うところの「定(じょう)」に入った状態です。
♠ 「癡」の解毒法
癡の反対は……智慧
愚痴や不平不満を言うことは口からゴミを出しているようなもので、何も解決しないばかりか、幸運も逃げていきます。解毒するには、すべてを「自己責任」と受け止めること。自助努力する人に、幸運の女神はほほえむのです。
また、無知であるために間違った判断をすることも「癡」に分類されます。同じ失敗を何度もくり返してしまう人は、その分野の専門知識や技術を身につけると同時に、的確なアドバイスをしてくれる友人や、仕事のパートナーを持つこともおすすめです。
Step up !
古今東西の人生訓や宗教的な真理は智慧の宝庫です。たとえば、「人間は永遠の生命を持って転生輪廻している」、「様々な人生経験を通して心を磨くために、この世に生まれてくる」と知れば、苦難困難に出会っても自暴自棄にならず、魂を磨く糧として受け止め、前向きに努力していくことができます。学校で教わる知識だけでなく、そうした人生の真実の智慧を知り、人間としての奥深さを備えた大人の女性を目指しましょう。
仏教ミニ知識
智慧の灯りのない状態を、仏教では「無明(むみょう)」と言います。
(2011年1月号)