73歳になる今も、年に数本の主演舞台をこなす、実力派女優の藤田弓子さん。
芸能界デビューのきっかけや当時のエピソード、そして元気の秘訣をお聞きしました。
新人もベテランも舞台に立ったら同じ
女優という仕事は、いろんな人と出会えるんですよ。その中には、うんと年上の人もいるし、とっても若い人もいます。だから、「ジェネレーションギャップを楽しむ」というのは、ごく自然に、ずっとやってきたことなんですよね。
私は今、静岡県の伊豆の国市というところで「いず夢(む) 」という劇団を主宰しているんですが、立ち上げてから20年、本当にいろんな方が集ってくれています。若い人もたくさんいて、16歳の高校生から、80歳のうちの主人(放送作家の河野洋氏)まで、幅広いですよ。みんなタメ口で話していて、うちの主人なんか20代の女の子に、「洋さん、洋さん!」って呼ばれてるの。もう、すごくうれしがっています(笑)。
でもね、若ければ誰でもいいというわけではないんです。劇団の人たちは、私が、「お芝居が好きな人、この指とーまれ」と言って、とまってくれた人たちですよね。好きなことが一緒、目的が一緒なんです。それがすごく気持ちを近づけてくれるの。だから、年齢なんて一切関係なく付き合えるんです。
この仕事は、どんなに新人でも、どんなにベテランでも、舞台に立ったら同じ。テレビや映画でもそうですけど、いちいち「この人は新人です」とか、「まだ勉強中」なんてテロップが出るわけじゃないですからね。アップで映る顔だって、ベテランだから大きくて、新人だから小さい、なんてことはないでしょ(笑)。
それを実感したのは、初めてNHKの朝の連続ドラマ「あしたこそ」の主演を務めさせていただいた23歳のときです。記念すべき最初のカラー放送で、3年もかけて撮りました。スタッフも役者も一丸となって、みんなで創り上げた思い出深い作品です。そのドラマのタイトルが流れた後に、真っ先に「藤田弓子」と名前が出たのを見て、なんだかもう、ズキンときたの。その後に、何十年もやっていらっしゃる大ベテランの役者さんたちの名前が続くんですよ。その方たちより、自分の名前が先に出る―。すごくびっくりしました。
「主役って、こういうことなんだ」って。
だから、どんなに若くても厳しさは一緒。ベテランと呼ばれるようになった今でも、その気持ちはなくなっていません。共に何かを創っていくときは、真摯に取り組んでいきたいですし、〝なあなあ〞にはしたくないの。
続きは本誌でお読みいただけます
▶ いつも真剣勝負!分かったフリなんてつまらない
▶ 「宝物」と言われた声
▶ 私でも、「女優」になれる!
▶ 人が好きだからこそ出会える素敵で楽しいこと
【Information】
藤田弓子さん主演!
舞台「ペコロスの母に会いに行く」
介護問題をユーモアを交えて描き、映画化、ドラマ化もされたハートウォーミングな物語。
■大田区民プラザ(東京):9月25日(水)~26日(木)
■武雄市文化会館(佐賀):9月28日(土)
■玉名市民会館(熊本):9月29日(日)
■下関市生涯学習プラザ(山口):9月30日(月)
■上野学園ホール(広島):10月1日(火)
■岡山市民会館(岡山):10月2日(水)
■北京民族文化宮大劇院(中国):10月11日(金)~13日(日)
■名古屋市青年文化センターアートピアホール(愛知):10月16日(水)
■小美玉市小川文化センターアピオス(茨城):10月22日(火)
<お問い合わせ>舞台「ペコロスの母に会いに行く」実行委員会 ☎03-5637-7500