人間関係のお悩みQ&A 態度・ふるまい編

ちょっとした気遣いや思いやりで、人間関係は劇的に改善するもの。長年、マナー講師として新人CA を指導してきた“マナーのプロ”が、「態度とふるまい」についてのお悩みにお答えします。

お悩み1 自己中心な後輩への対処法

ミーティング中、いつも議題とは関係のない自分の話をしゃべり出す後輩(20 代女性)。声も大きく空気が読めず、自己中なところに、スタッフ全員辟易しています。こういう人への指導方法を教えてください。(販売 正社員 40 代)

答え 教育は忍耐です。嫌われても注意を続けるべき。

以前、注意したにも関わらず変化のなかった部下を、あきらめて放置してはいませんか? 教育は忍耐あるのみ。後輩の存在をお荷物扱いしたり陰口を叩いたりせず、上司として、嫌われても率直に注意するべきだと思います。「周りに迷惑をかけている」ことを、自分の失敗談を交え、欠点をさらしながら話してみることです。「先輩にも同じような時代があったんだ」とわかるだけで、コミュニケーションに血が通い、仕事がやりやすくなります。人は顔を合わせた回数だけ親しみを感じます。「物を渡すときは極力手渡しにする」「挨拶の度に話すきっかけをつくる」など、意識的に言葉を交わしていると、いざというときに意外な信頼関係を発揮するものです。
ただし、指導によって、その部下の反応をあらかじめ想定しておく必要があります。全人格を否定されたと思い込んで出社拒否したり、人事部に異動希望を出されたりなど、考えられることは、あらかじめ上位職者と指導方針の意思統一をとる必要があるでしょう。注意する役や理解する役など、役割分担をすることで、よりスムーズに導くことが可能になるはずです。

お悩み2 怖い上司(お局さん)への対応

仕事のやり方が厳しいお局さん。スタッフの仕事のやり方にもケチをつけ、ちょっとしたミスでも、ものすごく怒られます。誕生日プレゼントにも悩まされ、スタッフ同士で口裏を合わせることも……。(看護師 正社員 50 代)

答え 上司のバックグラウンドを知り会話のきっかけをつくりましょう。

上司は、職場の実績や管理を任されており、厳しいのが当然です。「嫌い」「苦手」というレッテルを貼って遠ざかると、いつまでも追いかけてくるのが人生の問題集なので、懐に入ってかわいがってもらう人間対応力も大事です。また、女性の場合、緊急事態への対処に不慣れで責任の取り方がわからず、細部まで神経質に厳しく口を出してしまうこともあります。
スタッフが上司を理解できておらず、コミュニケーションの不足も感じられます。社員研修では会社の歴史や方針を学びますよね。社長がどのような仕事の経験を積んで、今に至ったのか。それにより、会社の使命や方向性を知ることができます。あなたも、上司の生い立ちや趣味・家族構成を知ると、その話題がOKかNGか、地雷を踏む確率は格段に減ります。上司のバックグラウンドを把握することは非常に大事です。上司の机の上にはどんなものが置いてありますか? 机を見ると、趣味や好きなことがわかります。自分の目で確かめ、上司との会話のきっかけをつくりましょう。人は誰しも自分に関心を持ってくれる人に好意的になるものです。

お悩み3 仕事ができない部下の指導

仕事で注意するとあからさまにふてくされる部下への接し方に悩んでいます。「聞いてません」、「言いました」が口癖。仕事ができなくて困るのは本人だから放っておこうかとも思ってしまいます……。(マスコミ関係 正社員 30 代)

答え 「理想の部下像」を押しつけず相手の価値観を受け止めて

どの職場でも、部下の指導は悩みの種だと思います。先輩として注意しなければならないのは、「こういう部下が理想だった」という記憶があると、その価値観をなかなか払拭できずに、自分の価値観や理想の部下像を押しつけてしまう傾向があることです。そういうときは、「私の世代ではこうだったよ」「先輩への接し方は……」と、一緒に発見を積み重ねて理解していくほうが、建設的な関係が築けます。

私自身、そんな上司に救われた経験があります。前職の新人CAのころ、突然ファーストクラスの担当になりました。当然、仕事ができるはずもなく、先輩に叱られ続けてフライトは終わりました。先輩方には「仕事ができない!」と言われ、食事にも誘ってもらえません。ひとりホテルの部屋で泣いていると、ある先輩が声をかけてくれました。その先輩は、「上司への報告の仕方は?」「クレームの対処はしたことある?」など、まず私のやり方を聞いて、さらにベストな対処法をやさしく教えてくれました。おかげで、帰路のフライトでは叱られてもへこまず頑張れたのです。今でもその先輩には感謝しています。

お悩み4 年上後輩から、できない年下先輩への接し方

自分より役職が上の27 歳男性アルバイト。接客態度など仕事の仕方にいろいろ問題があるのですが、注意しても改善されません。高学歴でプライドが高く、接し方に困っています。(飲食店 アルバイト 40 代)

答え “できる女”を見せつけず上司や先輩の最大のフォロワーに。

接客は女性の得意分野なので、上司の仕事ぶりが気になる気持ちはよくわかります。高学歴男性は 「勉強好きで対人関係が苦手」「どんな人にも頭を下げなくてはならない」などが理由で接客業への就職率が低いと言われています。しかし、人間関係調整力は学校の成績・学歴とは関係ありません。ただ、男性はプライドの生きものです。彼は社歴の長い年上のあなたに、劣等感や苦手意識を持っているかもしれません。不用意な言葉でミスを指摘したり、仕事の競争をしかけて“できる女”を見せつけたりする行動には出ないようにしてください。ここは経験豊富で年上のあなたが、年下先輩の最大のフォロワーになることをおすすめします。「上司の不得意なところを、陰で支え手伝う」。この積み重ねで信頼関係は築かれます。例えば、上司が指示をチーム全体に伝えたいときに苦労していませんか? あなたがわかりやすい言葉で仲間に伝え、その結果、上司が尊敬される存在になれば、あなたを頼れる存在として信頼すると思います。ぜひとも上司をサポートする強力なフォロワーシップを発揮してください。

(Are You Happy? 2016年7月号)

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