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今日が一番若い日

〝老け〟の役者は肌がきれい

若いうちから老人の役を演じる女優たちがいます。老人役はドラマ全体を引き締める役目を担うことが多く、長セリフをこなせ、勘所の良い人に、となると、若くて演技の上手い俳優にお願いすることになるのです。
老け役を演じる女優たちに共通しているのは、肌が美しく、若々しい雰囲気の持ち主です。意外に思われるかもしれませんが、老いを演じることで、若さの貴重さを知り、大切に保つようになったとも言えるでしょう。

30代でおばあちゃん役に

「日本一のおばあちゃん女優」と呼ばれた北林谷栄さんは、NHK連続テレビ小説「繭子ひとり」の老人役で一躍有名になりました。演じた当時はまだ30代でしたが、視聴者が本当のご老人だと思い込まれたほど、白髪のかつらの具合も、しわの入れ方も徹底的に研究し、それらを楽しんでいるようでした。撮影終了後、作り込んだ老けメークを、きれいに洗い落とされました。すると下から現れた素肌はピーンと張り、小じわひとつありません。同じ30代の女優と比べても美しい肌でした。それもそのはず、北林さんの肌の手入れは徹底しており、蒸しタオルは普通の人の倍使い、ファンデーションを完璧に取り去ります。基礎化粧品についてとても詳しく、洗顔後の肌の手入れも完璧でした。

老け役が美肌の転機に

あるとき、北林さんが記者の方から質問されました。

「いつごろから肌を丁寧に扱うようになったのですか」
「『キクとイサム』でおばあさん役を演じたころからかしら」
「あの、ブルーリボン賞を取った?」
「そうです。大きい賞を取ると、なかなかその役から抜けられなくて」
老けて扮装することで、やがて自分もこうなるのかと、怖さや、つらさ、不安と向き合うことになったと言います。今ある若さが永遠のものではないと知ると、それを支える肌を大切に扱おうと思うようになられたそうです。

若い肌を目に焼き付ける

NHKの大河ドラマ「篤姫」で、主人公の養育係で好評を得た佐々木すみ江さんも、若いときから老け役を演じられた女優の1人です。
「やっぱり老けのメークは、精神的に負担がかかるのよ」
ファンデーションは厚塗りになるし、しわやシミも描きます。
北林さん同様、未来の自分を見せられるのは、女性にとって、つらいことなのです。
「でも、その反動で収録が終わってメークを落とし、張った肌が見えたとき、体全体の血液が逆流して若い血液に代わったように感じるの」
私たちも、くたびれて帰宅した後、ゆっくりお風呂に入り、汚れが取れた状態で鏡を見ると、蒸気で肌がふっくら美しく変わっています。美しい肌をしている、と自分に思わせるのは大切なことです。その若々しい肌をしっかりと自分の目に焼き付け、保っていきましょう。

肌のためにしていること

老いと向き合った女優が肌の手入れを完璧にこなし続けられるのは、若い肌の素晴らしさ、それを失った時のつらさを知っているからです。北林さんに、肌の扱いの心得を尋ねてみました。
「普段はできるだけメークをしないで肌を休ませ、季節に合わせた基礎化粧品を使い、睡眠をよく取り、乾燥を防ぐため、冷房、暖房は弱く、電気毛布は使わないようにしています」
肌の美しさは日々の積み重ねで作られます。30代の方も50代、70代の方も、今日がこれからの人 生で一番若い日です。先を見据えて今の肌を大切に保っていきましょう。

今ある若さを 大切に© K’s color atelier

今月のレッスン
今日の手入れが、未来の肌を美しく保ちます。

(「Are You Happy?」2023年4月号)

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