
<気象病の主な症状>
・ 頭痛
・ めまい
・ むくみ
・ 疲労感
・ 神経痛
・ リウマチ
・ 喘息
・ ウツ
そろそろ梅雨入りの季節ですね。この時期は、「気象病」の症状に悩む方も増えてきます。気象病とは、気候や天気の変化が原因で起こる体の不調全般のこと。一番の原因は、気圧の変化です。低気圧が近づくと、むくみやめまい、関節痛、喘息、ウツなどの症状が出やすくなります。一番多い症状は、頭痛とめまいでしょう。気圧の変化に一番影響を受けるのは内耳です。内耳はリンパ液で満たされており、気圧に対するセンサーがあると言われている箇所。このセンサーが過敏になっていると、頭痛やめまいが起きやすくなるのです。
気象病は、東洋医学的にいうと「水毒」になります。「水滞(すいたい)」とも言います。体の水はけが悪くなっているときは胃腸が弱っていることが多いので、胃腸の働きを改善することが気象病の予防にもなります。食べ物では、豆類やきゅうり、冬瓜、キウイ、ハトムギなどがおすすめです。むくみやすい人も気象病になりやすいので、むくみにくい体を作るために、毎日湯舟に浸かって汗をかける体に改善していきましょう。
気象病の改善に効く代表漢方は「五苓散(ごれいさん)」です。当クリニックでもよく処方する漢方で、乗り物酔いにも効きます。めまいが強いときは、「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」を。この漢方は、めまいの特効薬で、難聴やメニエール病にも効果があります。胃腸が弱っていて、おなかの痛みや張りがあるときは、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」がおすすめです。
気圧と体の不思議な関係
人間の体は、低気圧が近づいてくると、ウィルスやガン細胞をやっつける「リンパ球」が増えてきて、高気圧が近づいてくると、ばい菌をやっつける「好中球」が増えてくることが分かっています。これはどういうことかというと、低気圧になると家に引きこもりたくなり、ウツっぽくなるのでガンやウィルス疾患に罹りやすくなる。逆に高気圧になると外に出たくなり、そうするとケガをしやすくなるということがインプットされているということです。私たちの体は、いつも私たちを守るために働いてくれているんですね。
低気圧のとき……「リンパ球」が増える
高気圧のとき……「好中球」が増える
茯苓(ぶくりょう)には霊的パワーがある!?
気象病の治療に使われる「五苓散(ごれいさん)」「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」には、どれも「茯苓(ぶくりょう)」という漢方が含まれています。茯苓は、松の木の根に生息するキノコの一種。昔の人は、茯苓には松の木の霊気を集めた霊的なパワーがあると考えており、「茯霊」と書いていたそうです。利水作用に優れていて、整腸作用や精神を安定する働きもある生薬です。
Column カフェインが症状を和らげる
気圧の変化によって頭痛やめまいの症状が出たときに、少量のコーヒーを飲むと症状が治まることがあります。これは、カフェインに血管を収縮させる働きがあるので、一時的に血液の流れが良くなるからです。カフェインが含まれる緑茶や紅茶にも同じ働きがあります。ぜひ試してみてください。
おすすめ漢方薬
気象病の定番漢方 五苓散(ごれいさん)
めまいが強いときに 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
おなかの痛みや張りがあるときに 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
(「Are You Happy?」2022年7月号)
小林城治
精神科・心療内科医
医療法人社団ヘルメス会「J戸越銀座クリニック」理事長。
高い実績を認められた復職支援(リワーク)の専門機関、薬だけに頼らない療法で社会復帰をサポート。現代書林『赤ひげ名医シリーズ』に掲載他、日本テレビ『ニュースゼロ』TV東京『ワールドビジネスサテライト』等、テレビ出演も多数。
書籍『2014最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医12人』に選ばれている。