空海の「三密」に学ぶ 誘惑から身を護る方法

法力(ほうりき)で妖魔を封印した 空海

いつの時代も、美貌や色気で異性を篭絡(ろうらく)し、人生を破滅に導く人はいますが、実はその背後には、そうした人たちに霊的に力を与えている存在、妖魔がいます。心に隙があると、時にそうした妖魔に取り憑かれた人から〝美しき誘惑〞をかけられてしまうのです。
平安時代、この妖魔を法力で退治したのが空海です。静岡県の修禅寺 奥の院には、空海が妖魔を封じ込めたとされる「駆篭(かりこめ)の窟(いわや)」があります。
〝美しき誘惑〞から身を護るために、空海が説いた修行の指針「三密」を詳しく見ていきましょう。

法力を磨く 三密

法力を持ち、悪霊や悪魔、妖魔を追い払ったり、さまざまな奇跡を起こしたりした空海は、「三密」という修行を教えの中心に置いていました。三密とは、「身(しん)(体)・口(く)(言葉)・意(い)(心)」のことであり、この3点を調えることが正しい修行のあり方であると考えていたのです。法力を身につけるには、信仰心を持ち、身・口・意を調えながら宗教修行を重ねることが大切なのです。

妖魔を見抜く 法力(ほうりき)

妖魔の正体を見抜き、退けるためには、儀式や道具ではなく、本人の「法力」が必要です。法力は魔を祓う力であり、宗教修行によって悟りを高めることで、身につけることができます。しかし、法力を使う本人の自我が強いと、他人を思い通りに動かそうとする念力になってしまいます。天上界の神仏とつながろうとする透明な心を持つことで、正しく法力を使うことができるのです。

身ー しん ー

「身」はそのまま「体」のことであり、健全な生活を送ることです。不規則でなまけた生活をしていても、仕事で忙しすぎて体が休まらない状態が続いても、法力を高めることはできません。
精神的に安定している人でも、体の健康を害してしまうと、心に隙が生まれて、妖魔や悪霊などに見入られてしまうことがあります。心の修行に入る前に、まずは自分の生活習慣を見直し、調えていくことが大切です。

悪い生活習慣

×夜更かしや徹夜を繰り返している
×毎日のようにお酒を飲む習慣がある
×運動の習慣がなく、体力が落ちている
×好きなものばかり食べ、栄養が偏っている
×不倫や複数の異性と関係を持つなど、
×乱れた性生活を送っている
×テレビやスマホをだらだらと見ている

良い生活習慣

〇睡眠時間をしっかり取り、休息の時間を持つ
〇深酒をせず、アルコールを適度に抑える
〇最低でも週に一度は運動の習慣を持つ
〇バランスの取れた食生活を心がける
〇性欲を抑え、健全な恋愛、結婚生活を送る
〇テレビやスマホを見る時間を本を読んだり勉強する時間に変える

口ーくー

「口」とは「言葉」のことであり、言葉を調える修行のこと。
衝動的に言葉を発するのではなく、自分の言葉が相手にどんな影響を与えるのか、よく考えて話すことが大切です。
自分の良心に恥じない言葉を語り、他人に対する否定的な言葉を避けることです。悪霊に憑かれると悪い言葉が口をついて出てきます。注意すべきは、嘘をついたりごまかしたりする「妄語(もうご)」、悪口を言う「悪口(あっく)」、二枚舌や人を仲違いさせるようなことを言う「両舌(りょうぜつ)」、お世辞や長い無駄話をする「綺語(きご)」の4つです。具体的な項目を点検してみましょう。

言葉の調律チェック

嘘をつく 妄語
□自分の利益のために嘘をつく
□ミスや失敗をとっさにごまかす
□失敗を他人や環境のせいにする

他人の悪口を言う 悪口
□本人のいないところで悪口で盛り上がる
□人をうらやむような言葉や批判を口にする
□他人をからかったり、バカにしたりする

二枚舌を使う 両舌
□複数の人に違うことを言って、取り入ろうとする
□仲違いをさせるようなことを言って、不安にさせる
□その時々に都合のいいことを言って立ち回る

お世辞を言う 綺語
□心にもないお世辞を言って相手をうぬぼれさせる
□「良い人」と思われるために人を褒める
□おしゃべりで、何時間も無駄話をする

言葉を調えるための心の指針にしたい言葉

悟りたる者は、驕(おご)らない。
悟りたる者は、威張(いば)らない。
悟りたる者は、決して自(みずか)らをよく見せようとはしない。
悟りたる者は、他(た)の人を裁(さば)こうとしない。
悟りたる者は、他の人びとを傷(きず)つけようとはしない。
悟りたる者は、柔和で、言葉正しく、常(つね)に落ち着き、そして優雅(ゆうが)でもある。
貪(むさぼ)りの毒がいかに悪いか、それは、柔和な姿(すがた)というものを害するからだ。
柔和な姿はそれ自体で尊(とうと)い。
柔和な顔、柔和な言葉、柔和な物腰(ものごし)、それ自体が尊い。
それ自体が仏(ほとけ)の姿そのものである。

『仏陀再誕』大川隆法 著 より

仏陀再誕

意ー い ー

「意」は「心」のことであり、そのコントロールのこと。法力を身につけるためにもっとも大切な修行です。妖魔や悪霊はこの世的なものへの欲や執着に取り入ります。また、死後、あの世に持って還ることができるのは心だけです。そのため、欲や執着を捨てて、心を磨くことが重要なのです。
心を磨くためには、日頃、間違った思いや行いを反省して心の曇りを取り除き、自己中心的に生きるのではなく、人のために生きることが大切です。下のチェックで、自分の心が正しい方向を向いているか振り返ってみましょう。

心の方向性チェック

□死後の世界や神仏の存在を信じている
□失敗や不遇な環境を自己責任として受け止められる
□自分の誤りは素直に反省し、改めようと思える
□日々、努力や精進を積み重ねている
□嫉妬や憎しみより、祝福の気持ちを持っている
□自分のことより人の気持ちを考えている時間のほうが多い
□生かされていることへの感謝の思いで一日を始める
□毎晩、寝る前に一日の思いや行いを反省する

法力を得るために必要な生き方の指針

一、人間の本質は心であると考える。
二、間違った行いや思いは反省する。
三、利他の思いを持って生きる。

大川隆法総裁御法話「法力を身につけるには」より

(「Are You Happy?」2021年6月号)

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