まだまだ収束の兆しが見えないコロナ禍で、ウィルスに負けない体づくりの重要性はますます高まっています。そこで注目されているのが、「フラクトオリゴ糖」。腸内環境を整え、免疫細胞を活性化してくれると言われているのです。フラクトオリゴ糖は腸内でどのように働くのか、どのような食生活を心掛ければいいのか、調べました。
フラクトオリゴ糖で酪酸菌(らくさんきん)を増やして、コロナから身を守りましょう!
微生物分類学、腸内細菌学の分野の第一人者である、東京大学名誉教授の小柳津広志さんに、フラクトオリゴ糖がなぜ体にいいのか伺いました。
フラクトオリゴ糖がコロナを予防する仕組み
1 フラクトオリゴ糖が腸内の酪酸菌を増やす
フラクトオリゴ糖とは、ごぼう、玉ねぎなどの野菜に多く含まれている水溶性食物繊維。これを食べると、腸内細菌の代表格である酪酸菌が増えます。酪酸菌を効率的に増やすことができるのは、フラクトオリゴ糖だけ。
2 酪酸菌が免疫力を上げる
酪酸菌が増えると、自然免疫が活性化し、コロナに感染しにくくなります。ただ、抗生物質を服用すると、腸内の酪酸菌は減ってしまいます。薬を服用した後には、フラクトオリゴ糖をしっかりとって、酪酸菌を増やしましょう。
3 酪酸が炎症を抑えるTレグ細胞を増やす
酪酸菌が放出する酪酸は、免疫細胞の1つであるT 細胞をTレグ細胞に変化させます。Tレグ細胞には炎症を抑える働きがあり、これが花粉症などのアレルギーを抑え、コロナの重症化も防ぐのです。
Q 酪酸菌は腸内でどう作用する?
どんなウィルスや菌でも攻撃して初期感染を防いでくれるのが、NK細胞という免疫細胞です。NK細胞は誰でも持っていますが、腸内環境や生活習慣に左右されやすい性質があります。実は腸内の酪酸菌が増えると、NK細胞が活性化することが多くの論文で報告されているのです。
さらに、酪酸菌が増えることでできるTレグ細胞は、免疫の暴走を防ぐことで炎症を抑える細胞。コロナ重症化の原因の一つはまさに免疫の暴走による炎症ですから、コロナにも有効であると言えます。
日頃から大腸の酪酸菌を増やしておくことで、コロナに感染しても無症状だったり、重症化を防いだりすることができるのです。
Q 酪酸菌には、ほかにどんな効果が?
前述の通り、炎症を抑える効果がありますが、たとえば花粉症やリウマチも、免疫の暴走による炎症です。適量のフラクトオリゴ糖をとり、酪酸菌が増えれば症状が鎮静化します。花粉症なら、早ければ5、6時間で治まることも。血管の炎症も抑えるので動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞も予防できます。
Tレグ細胞は組織の修復も担っているので、傷が治りやすくなったり、骨密度を上げる働きもあります。また、酪酸菌が出す酪酸は大腸のエネルギー源なので、酪酸菌が増えると、大腸の組織が元気になります。大腸ポリープができにくくなったり、他の細菌からも守ってくれます。酪酸菌を増やすといいことだらけなのです。
Q フラクトオリゴ糖をとるには?
普通の食生活をしていれば、一日平均2グラムくらいのフラクトオリゴ糖をとることができます。しかし、酪酸菌を増やすためには10グラム以上を目安に取り入れたいものです。
フラクトオリゴ糖が豊富な食材の代表格は、玉ねぎ、ごぼう、にんにく、ヤーコン。玉ねぎなら1日2個、ごぼうなら1本で充分とれます。
調理のときの注意点は、フラクトオリゴ糖が水溶性なので、ゆで汁は捨てないこと。ゆでるときは電子レンジで加熱しましょう。
ただ、食事で取り入れるのも限界がありますので、フラクトオリゴ糖製品を使ってもよいでしょう。ただし、ボトルタイプのシロップ状のものは半分以上の割合で砂糖などの甘味料が入っているものが多いので、甘味料として考えたほうがいいです。成分表を確認して、食生活のなかに上手に取り入れてみてください。
フラクトオリゴ糖が豊富な食材
ヤーコン100gに9g
野菜の中で最もフラクトオリゴ糖を含む。収穫したてのときがフラクトオリゴ糖が最も多く、時間とともに減ってしまいます。
玉ねぎ½個に4g
ジャムにすると、たくさん摂取できます。
ごぼう½本に5g
甘酢漬けがおすすめ。保存性が高く、アレンジの幅が広がります。
にんにく1片に1g
小さいなかに、意外とたくさん含まれています。疲れを取る効果も高い野菜です。
(「Are You Happy?」2021年4月号記事)
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小柳津広志 おやいづひろし
東京大学大学院農学国際専攻教授等を経て、現職。2017年には神奈川県横須賀市に減塩カフェ「カフェ500」をオープン。株式会社ニュートリサポート代表取締役。フラクトオリゴ糖を主成分にした「長沢オリゴ」の開発者。