においケアの正解

薄着になり、たくさん汗をかく夏がやってきます。
体臭が気になる季節ですが、自分のにおいに気づくのは難しく、自分流のケアで済ませている人も多いかもしれません。そこで今回は、体臭の根本的な原因と対策を知り、においの不安を解消する方法を探りました。

体臭の種類ってこんなにある!体臭の原因&対策

一口に体臭と言っても、その特徴や原因、対策もさまざま。ケアが必要な体臭を見てみましょう。【監修】東峯ラウンジクリニック 池下育子院長

体臭の原因&対策

汗臭 ツンとした酸っぱいにおい。汗+皮脂+皮膚上の細菌が混ざり合い、細菌が増殖することによって発生する。
対策 汗をかいたら放置せず、ウエットシートなどでこまめに拭き取る。夏は下着の替えを用意するなど衣類ケアも有効。

ストレス臭 疲れたときに発生する硫黄臭やアンモニア臭。ストレスによる胃腸の不調や脂汗など複合的な原因で起こる。
対策 ストレスマネジメントのほか、生活習慣・食生活の改善で腸内環境を整えると、原因物質の発生を抑えられる。

加齢臭 ひなびたようなにおい。皮脂腺から出る脂肪酸が酸化して発生するノネナールが原因。40代以降から目立つ。
対策 皮脂やノネナールを毎日きれいに洗い流す。さらに皮脂の酸化を防ぐ抗酸化作用のある食材も予防につながる。

老人臭 ツンとするアンモニア臭が特徴。腸内環境の悪化と肝・腎機能の低下が原因。60代以降に目立ち始める。
対策 規則正しい健康生活を心掛ける。腸内環境を整えて、肝機能を上げる食材を積極的に取り入れるとよい。

ワキガ 酸っぱいような苦いような強烈なにおい。遺伝的にベトベトした汗を出すアポクリン汗腺が活発な人に発生する。
対策 汗臭対策と同じ。さらにワキ毛の処理や制汗剤などの対策をしても気になる場合は、皮膚科などに相談を。

におってないかな…… においのセルフチェック方法

1 一日着ていた服を脱ぎ、清潔な袋に密封する
2 お風呂に入る
3 上がった後、袋を開き、服を嗅ぐ

エチケットとして体臭とうまく付き合いましょう!

女性の体のさまざまな悩みに寄り添ってきた、東峯ラウンジクリニック院長の池下育子さんに、体臭の原因や対策法について伺いました。

体臭は誰にでもある

においには、「順応」といって嗅覚が自分の体臭に慣れてしまうという特徴があります。そのため、自分がどんなにおいなのか、周りの評価に頼らざるを得ず、不安に感じる方も多いかもしれません。また、「においがある」ことは必ずしも「くさい」ことではないのですが、多くの人がイコールで結びつけてしまっているように思います。動いて汗をかいたり、ご飯を食べたり、生きていればにおいは自然と生じてしまうもの。体臭は誰にでもあるのです。
以前、ママたちに全身にすっぽりと布をかぶってもらい、4〜5歳の子供ににおいだけで自分のママを当ててもらう実験をしたことがあります。すると、見事全員が正解。体臭は一人ひとり違っていて、普段から子供たちがママのにおいを認識していていることが分かる結果でした。
一般的に、日本人の体臭は欧米人に比べると弱く、におい自体にも敏感です。エチケットとして常識的な対策をしたら、あとはあまり不安になりすぎず、うまく付き合っていきましょう。

体臭の種類と原因

体臭は大きく「体表面体臭」「体内体臭」「腸内体臭」に分けられます。「体表面体臭」は汗と皮脂をエサに細菌が増殖して皮膚上で発生するにおい。「体内体臭」はホルモン異常や生理機能の低下などが原因で皮脂の分泌が盛んになったり、活性酸素が増えたりしてにおいが発生し、汗や口臭として表に出るにおい。女性の体臭が生理前に普段より強くなるのはこれが原因です。「腸内体臭」は腸の中で食べ物が分解される際に発生したガスが体に吸収され、汗や口臭として出てくるにおい。このように体臭の種類はさまざまなので、原因にあった対策が必要です。 
最も一般的な体臭の原因は汗ですが、実は汗そのものににおいはありません。汗にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類から出る汗があり、エクリン汗腺から出る汗は99%が水です。一方、ワキの下やおへそ周りなど限られた部位に存在するアポクリン汗腺から出る汗は栄養分が豊富で粘性が高いため、細菌が繁殖しやすいのです。これがにおいの原因です。汗をかいたらこまめに拭きとることがいちばんの対策になります。

肌ケア方法

夏のにおい対策には、汗のケアがとても大事。気になる箇所別にケアの方法を聞きました。

 肌のバリア機能を落とす洗いすぎには注意

先述のとおり、体表面体臭には肌表面の細菌が関係していますが、すべて洗い流そうとごしごしこすってしまうのはNGです。肌を守る角質層が剥がれ、乾燥を防ごうとして余分な皮脂が分泌されてしまいます。天然素材のタオルや手のひらで石けんをよく泡立て、汚れを包み込むようにやさしく洗いましょう。最後は石けん成分が残らないように、しっかり流すことが大事です。

 頭のにおい対策は「頭皮」をきれいに

頭のにおいの原因のほとんどは「頭皮臭」です。頭皮にはTゾーンの約2倍もの皮脂腺があると言われており、皮脂の分泌が盛んです。脂っぽいにおいを感じる場合は、毛穴に皮脂が詰まっているのかもしれません。対策のポイントは、シャンプーのすすぎに時間をかけること。さらに週に一度の「頭皮クレンジング」を行うと、においの発生を防げます。

ワキ ワキはデオドラント商品で汗対策を

もともとワキはアポクリン汗腺が発達していて汗をたくさんかく場所にも関わらず、体毛もあり、汗が蒸発しづらい環境にあります。きれいに洗うほか、デオドラント商品で対策をしましょう。汗が多い人は「制汗機能の高いもの」、においが強い人は「菌の繁殖を抑えるもの」がおすすめです。ワキ毛の処理をしていない人は、スプレータイプだと毛に邪魔をされて成分が届きにくいので、塗るタイプを。

 足は爪や指の間など細かいところも洗う

足は汗腺が集中しているにも関わらず、靴下や靴で密閉されて汗もにおいもこもりやすい場所です。足のにおい対策のポイントは指の間や爪の間など細かいところまで洗うこと。歯ブラシを足の指専用にして、1週間に一度を目安に使用するのもいいでしょう。すでに足ににおいがついてしまっている場合は、大きめの洗面器にお湯と大さじ3杯のお酢を入れて足を浸けると簡単に解消できます。

体臭Q&A

Q衣服のにおいのケア方法は?

1日着ていた衣服には、いつの間にか皮脂や汗、外気の汚れや他人のにおいが付着しています。毎日洗濯することはもちろんですが、洗濯が難しいものは天日干しを。衣類がにおう最大の原因は「湿気」だからです。天日干しできないものは、衣料用の消臭スプレーやにおいの原因である菌を殺すスチームアイロンをかけてしっかり陰干ししましょう。

Q夏場は汗以外の体臭ケアは必要?

冷房で体を冷やさないように心掛けましょう。冷房が効いた室内では汗腺が閉じて、汗をかきづらい体になってしまいます。そうすると、汗で外に出ない分、体内に体臭の元がこもり、体内体臭や腸内体臭が強くなるのです。冷えによる胃腸の不調も腸内体臭につながってしまいます。また、運動したり、40度くらいのぬるめの湯船に浸かる習慣で、汗をかける体にすることも大切です。

Q体臭は予防できますか?

体内・腸内体臭を防ぐには、規則正しい生活習慣が欠かせません。睡眠不足だと、基礎代謝が下がって臓器の働きが低下し、におい物質の分解能力が落ちてしまいます。またストレスが多いと、疲労物質である乳酸が増え、体内が酸性になります。そうすると、汗の中にアンモニアが増えて汗がにおってしまうのです。食事では、穀物や野菜を中心とした和食が腸内環境の改善につながります。

Q体臭ケアはずっと同じで大丈夫?

体臭は加齢とともに変化していきます。思春期などであれば汗のケアだけで十分かもしれませんが、大人になれば、臓器の機能低下やストレス、ホルモンの変化などさまざまな要因で体臭が変化し、加齢臭や老人臭なども出てきます。年齢とともに健康への投資が不可欠なように、におい対策としても、ライフスタイルやケア用品などの見直しをしていきましょう。

(「Are You Happy?」2021年8月号記事)

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