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日本の四季を楽しみましょう「秋のお月見」〔子育て110番〕

月へのいざない

「さっさとごはんを食べて」「さっさとおふろに入って」「さっさと寝なさい」と子供をせかしながら、今日もあわただしく一日が暮れてゆく〝子育てガチ勢〟の皆さん、こんばんは。
今宵は、皆さんの現実をちょっと横に置いて、まったりと、日本の四季と月の話をしましょう。
世界には、一年中、真夏の灼熱の太陽が照りつける熱帯気候の地域もあれば、一年中、雪と氷に覆われた寒帯気候の地域もあります。その中で、日本は「春・夏・秋・冬」という四つの季節が巡る、彩り豊かな気候風土に恵まれています。そのため、たくさんの種類の作物も獲れます。
目を閉じて、思い出してください。日本では、春にはどんな雨が降りますか? 夏の雨はどんな雨ですか? 秋の雨はどんな雨ですか? 冬の雨はどんな雨でしょうか? しとしとと静かに降る春雨(はるさめ)、積乱雲の後に突然やってくるにわか雨、霧のように細かい小(こ)ぬか雨、冷たく凍えるみぞれ雨。日本の雨は、季節ごとに違う姿を見せてくれます。
また木々は、春には若葉が萌(も)え、夏には青々と繁り、秋には紅葉が舞い、冬には枯れた木立(こだち)がそびえます。
月もまた、四季折々の情景を見せてくれます。ぼんやりとした春霞の空にかかる朧月、暑い夏にどこか涼しさを感じさせる夏の月、秋雨(あきさめ)に洗われた空に美しく輝く中秋の名月、寒空に煌々と冴え渡る冬の月。皆さんは、春夏秋冬、どの月がお好みですか?

お月見の由来と楽しみ方

子供を追いかけ回して世話をしながら毎日を過ごしていると、ママは、ついつい下ばかり見る生活になりがちですよね。
でも、せっかく秋が巡ってきたのですから、背中を伸ばし、上を向いて、高くなった秋晴れの空を眺めたり、家族でゆったりと中秋の名月を眺めたりしましょう。
日本には、古代から月への信仰があり、月は神様そのものだと考えられていました。またお月見の風習も、古く平安時代からあります。人々は、秋に収穫した里芋や、お米の粉(上新粉)で作った月見団子を供えて、神様に五穀豊穣の感謝と祈りを捧げたのです。
皆さんも、せかせかした日中の活動を少し反省し、荒い心の波動を鎮め、子供といっしょに秋の名月を眺めながら、神様に五穀豊穣の感謝と祈りを捧げてみませんか。
月見団子の材料のお米の粉は、今はスーパーで簡単に手に入ります。粉に少しずつ水を加え、子供といっしょにこねこねして、ゆでて冷ませばできあがり。お三方(さんぽう)がなければお皿に盛って、花屋で買ったススキを飾れば準備はバッチリです。
さあ、子供といっしょに、冬の月とも、春の月とも、夏の月とも違う秋の月を楽しみましょう。あの満月のような明るくおだやかな心で、語り合いましょう。

(「Are You Happy?」2017年10月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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