人生計画を立てる上で知っておきたいのが、お金の備え方です。
ファイナンシャル・プランナーのゆりもとひろみさんに、資金計画の基本をお聞きしました。
不安の裏には実現したい希望がある
私の事務所では、「ライフプラン・シミュレーション」という、お金の面から人生計画を考えるサービスが一番人気があります。
相談の際、多くの方は「家のローンは返せるか」「老後資金は十分か」など、お金の不安を抱いていますが、計画を立てる前に、必ず不安を「希望」に置き換えてもらっています。例えば、「3人目を産んだら破産するかも」という不安の裏には「3人目を産んでも安心して暮らしたい」という希望が隠れています。もし今、お金で不安を感じている方は、それを希望に置き換えてみましょう。
迷ったらお金がかかるプランで考える
さらに具体的な計画を立てる段階でも、お金のことで迷いが出てくるはずです。そんなときは、「一番お金がかかるパターン」で仮決めしてしまいましょう。例えば、「子供が公立に行くか私立に行くか」は、子供が大きくならないと分からないので、お金のかかる私立でひとまず計画を立ててみるのです。すると、「悩んでいるけど何もしない状態」から、「作戦を立ててアクションを起こす段階」に移行できます。
ここから先は私たちファイナンシャル・プランナーの出番ですが、キャッシュフロー表をつくって、いつ、どれくらいのお金が必要かをシミュレーションします。すると、将来必要になる金額や、今年一年で目指すべき貯蓄額まで分かるようになります。
計画を立てる際に一番大事なのは「どのように生きたいか」というライフデザインです。それがあってこそ、具体的な計画が立てられます。天国に還ったときに、「悔いのない人生だった」と言えるにはどうしたらいいかを考えることで、自分ならではの人生計画が見えてくるでしょう。
人生計画を立てる順序
ライフデザイン
まずは、「大家族で幸せに暮らす」「生涯現役を目指す」など、実現したいことや希望を考えましょう。
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ライフプラン
「二世帯住宅を40歳で建てる」など、何年後にはこうなっていたいという具体的な目標を立てましょう。
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キャッシュフロー
時系列で収入・支出を書き出したキャッシュフロー表をつくり、資金面でのシミュレーションをしましょう。
ライフイベントとお金のQ&A
生活 Q 社会人として最低限備えておくべき金額は?
A 月収の3~6カ月分です。
月収の半年分の緊急資金があれば、病気や失業で収入が途絶えても、治療中や再就職までの生活費をまかなえるので、焦って無理な行動をしたり、高金利のキャッシングを利用せずに済みます。また、火災や事故などは、個人では補償できない額が発生する場合もあるので、保険に入っておくと安心です。
子育て Q 学資の貯蓄はどれくらい必要?
A 200~300万円が目安です。
大学の学費は、一般的に国公立で400万円、私立では600万円ほどかかるので、その半分の額を事前に学資として貯蓄できていると安心です。200万円準備するなら、お子さんが生まれてから毎月1万円、300万円であれば1.5万円積み立てていくと準備することができます。
住宅 Q 住宅は早めに購入した方がいい?
A メリットとデメリットの両方を考えましょう。
購入が早いほど、家賃に流れる資金を購入代金に充てられるメリットはあります。ただし、転勤や転職で住む場所が変わるリスクや、ローンを組む場合、収入が変化しても払い続けられるかどうかの検討は必要でしょう。貸しやすさや売りやすさなど、軌道修正がしやすい物件を選ぶことで、リスクを減らせます。勤め先の家賃補助が手厚い場合は、浮いた家賃分を将来の住宅購入資金として積み立て、退職後に購入するという選択肢もあるでしょう。
年金 Q 年金だけでは足りない場合どうすれば?
A 年金の繰下げ受給を検討しましょう。
年金制度は今後どうなるか分からないところがあり、支給額が減ることは確実です。そのため、生涯現役で働けるよう準備しておくことをおすすめします。また、年金の受給開始年齢を65歳よりも繰下げると、毎月の受給額がアップする制度があります。70歳開始で42%アップ、最大繰下げ年齢の75歳開始で84%アップしますので、こちらも検討してみましょう。
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