「観察 → 仮説 → 実験 → 考察」
「エンゼルプランV」の年中クラスで、折った紙を水につけるとどうなるか、という実験をしました(左ページのイラスト参照)。折り紙を花の形に切り、時計回りか反時計回りに、順に花びらを中心に向かって折っていきます。ポイントは、折り目をしっかりとつけること。
実験をする前に、「これを水につけるとどうなると思う?」と子供たちに予想を立ててもらいます。ぽかんとなる子、眉み間けんにしわを寄せて考える子、紙を観察する子などさまざまです。そして、いざ実験を開始すると、子供たちは折り紙がどうなるか、瞬きもせずに観察します。やがて子供たちの中から次々と歓声が上がりました。
「もう一回やっていい?」「次は別の紙でやっていい?」「先生、なんでこうなるの?」自分が出会った不思議な体験に、子供の心はワクワク躍り、頭はフル回転! みんな、こういう瞬間が大好きです。目をキラキラ輝かせた小さな科学者たちは、知的好奇心にあらがえず、いろいろなことを考えながら次々と実験をくり返していきました。
科学って、なんだろう?
お教室では、神様や神様の教えについて学ぶ信仰教育の時間、「ことば」や「かず」を学ぶ知育の時間、工作や実験や音楽などを通して子供たちの創造性を育てる時間がありますが、私はそれらすべての教育を通して、子供たちに「科学する心」を育みたいと考えています。
科学って、なんでしょう? 小学生に聞いたら「実験」や「ロケット」という答えが返ってきます。なるほど科学というと、多くの人は現代の科学技術に基づく便利な文明のことを考えるのでしょう。実は、この高度な技術や文明を生み出し、止まることなく前進させているものこそ「科学の精神」「科学する心」です。高校のある倫理の教科書にはこう書いてあります。「科学とは、真理の探究そのものである」と。
未知の世界に挑む心
ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、長年ニュートリノの研究を行ってきましたが、そこで使われている超高精度の素粒子検出器をつくっている会社が静岡にあります。そこの社長さんが、「今後も、人類の未知未踏の研究に貢献したい」と話されていました。これこそ「科学する心」です。
現代の文明は、数千年前に比べると随分と進化しましたが、私たちのまわりにはまだまだ無限の未知の世界が広がっています。地球のことも、宇宙の過去と未来も、人間はどこから来てどこへ行くのか、心の世界はどうなっているのかも、ほんとうはまだ知らないことだらけ。そこに、見えない真理が実在するのです。その真理を自分たちの手で探し出そうとする本物の科学者たちは、日々謙虚な心で努力を続けています。神様のことも見えない世界のことも、決して否定しません。むしろ信じています。
子供たちにも、真理を自分の手でつかもうとする心や、謙虚に未知に挑戦する心、科学する心を持ってほしいと思います。そして、自分の栄誉のためでなく、日本や世界の人々の役に立つために、未来の人類のために、大きな志こころざしを立てて努力する人になってほしいと願っています。
(「Are You Happy?」2016年2月号)