一方的に国家を侵略し自治区としてきた中国と、日本海に向けて幾度となくミサイル実験を行う北朝鮮。そこに住む子供たちはどのような暮らしをしているのでしょうか。子供たちの“いま”を知り、国を守る大切さを学びましょう。
新疆(しんきょう)ウイグル自治区
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新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)
人口:2181万人(ウイグル族5割、漢族5割)
1933年、ウイグル人は「東トルキスタンイスラム共和国」の建国を宣言しますが、ソ連と中国によって鎮圧されます。49年には中国が武力で占領し、「中国新疆省」としました。2009年にはデモを起こしたウイグル人を中国政府が大量虐殺。13年には妊婦を含む一家が天安門に車で突っ込み、命がけで信仰の自由を訴えました。
「ウイグルの文化が否定され民族“根絶やし”の危機に!?」
子供たちの“いま”
・中国人に誘拐されて、犯罪を強制させられる子も
・ウイグル人というだけで差別や迫害を受ける
・高校に行ける子供は36%
2011年、中国人にスリを強要されたウイグル人の男の子が、30人以上の中国人に取り囲まれて暴行を受けている映像がインターネット上で公開され、またたく間に世界に広がりました。
この子のように日常的に幼児が中国人によって誘拐されては、犯罪に手を染めさせられています。
また、2012年にはイスラム教を学んでいた11歳の少年が中国警察に突如拘束されて拷問死する事件も。2017年10月にはウイグル語での教科書教育も禁止されるなど、ウイグル人というだけで信教や教育の自由を奪われています。
チベット自治区
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チベット自治区(チベット)
人口:318万人(チベット族6割、漢族4割)
1950年、中国は「帝国主義者からの解放」を名目に、独立国であったチベットに軍事侵略を開始。66年には「チベット自治区」を設立しました。中国政府はチベット人の思想・表現・信教の自由を完全に否定し、人々の心の拠りどころである寺院や神殿を次々に破壊。「民族浄化」として、僧侶を含む120万人以上のチベット人が殺害されました。
「世界有数の仏教国だったチベットが今では……」
子供たちの“いま”
・母国語や母国の歴史教育が禁止されている
・亡命中に国境警察に見つかると、拷問・射殺される
仏教信仰国だったチベット自治区では、銃を持った中国警察が「持ち物検査」を名目に突然家に踏み込んでは、仏壇の中にダライ・ラマ法王の写真がないかを確認します。
中国政府は自治区の人々を完全に支配するために思想や表現、信教の自由を否定し、それに反すると子供であっても罰されることに。
学校ではチベット語やチベットの歴史教育が禁止されているため、子供を中国から守り、自国の文化を学ばせるためにインドに亡命させる親が後を絶ちません。しかし、ヒマラヤ山脈を越えている途中で国境警察に見つかった子供は拷問を受け、射殺されることもあるのです。
内モンゴル自治区
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内モンゴル自治区(南モンゴル)
人口:2471万人(モンゴル族1割、漢族9割))
1911年、南モンゴルは外モンゴルとともに「統一モンゴル国」の独立を宣言するも、中国が認めずに戦争が起きました。45年のヤルタ協定では南モンゴルが中国の一部とされ、47年には中国共産党によって「内モンゴル自治区」が成立。自分たちで統治することを求めたモンゴル人は「民族分裂主義者」として拷問・虐殺されました。
「中国の強引な経済開発で豊かな自然が砂漠化」
子供たちの“いま”
・デモに参加した両親が子供と離されて拘束・殺害
・モンゴル語や放牧などの文化が禁止され、自国について知らずに育つ子供が多い
絵本『南モンゴルで起こったこと』の著者であり、NPO法人「利他利他(りたりた)有興会」の理事でもある安保智子さんに、執筆のきっかけや南モンゴル(内モンゴル自治区)の現状について伺うかがいました。
「私たちは、活動を通して中国や東南アジアに点在する少数民族の支援を行っています。絵本を書くきっかけになったのは、南モンゴルの友人から『僕らのことが世間にまったく知られていない』と打ち明けられたことです。友人に現状を聞くと、豊富な資源を横取りするために中国人(漢人)が大量に流れ込み、豊かな自然が破壊されていること、南モンゴルの子供たちも他の自治区と同じように迫害を受け、母国語やふるさとの歴史を学ぶことが許されていないことが分かりました。
絵本は1冊100円の寄付をいただき、モンゴル語の教科書を子供たちに贈る支援に換えています。皆さまのおかげで今までに500冊を送り、約1300人の子供たちが母国語を学ぶことができました。今後も活動を通して、世界の人たちにこの真実を伝えていきたいです」
ママたちにできること
国防を身近なものと捉えよう
中国の自治区になってしまった国々に共通しているのは、十分な軍隊や国防力を持っていなかったことや中国の侵略を危険視できていなかったことなどです。日本も中国の脅威に対する「抑止力」となる防衛力を持たなければ、文化や言語、国土や資源を奪われ、迫害・虐殺される可能性もゼロではありません。まずはお母さんたちが正しい知識を持ち、国防に対する意識を持つことが大切です。
自分にできるアクションを起こそう
家事に育児に忙しい毎日を送る中でもできることはあります。隙間時間に国際情勢に関する記事を読んだり、ママ友と身近な政治について話し合ったりと、できることから行動してみませんか?
(「Are You Happy?」2018年2月号)