物心つく前から、母に対して細かく指摘したり、思春期には胃が痛くなるほどのきつ~い言葉をぶつけたり……。1番近い同性の“娘”は母にとって、かなり厳しい存在? 娘との赤裸々な葛藤を暴露した、母目線のホンネ座談会です。
Aさん (48歳・パート/長女(17歳)、長男(11歳)の母) 私にとっての娘 良くも悪くも「自分の鏡」みたいです。
Bさん (47歳・パート/長女(14歳)、長男(12歳)、次女(11歳)、次男(5歳)の母) 私にとっての娘 ケンカしながらも「人を愛する方法」を学ばせてもらってます。
Cさん (52歳・専業主婦/長女(20歳)、長男(16歳)の母) 私にとっての娘 私が変わるチャンスを与えてくれましたね。
娘は幼いときから母に厳しい!?
A 娘って、母親に対して厳しいよね。うちは3歳のころから厳しかったよ~。
C そんなに早くから?
A 「なぜあれをしたの?」「これをしないの?」と細かく追及されて。子供の連れ去り事件や食中毒が社会問題になっていたころで、私も過敏に娘に注意していたから、真似をしてたのかもしれないけど。
B うちの中3の娘も、何か注意すると、「ママもできてないじゃん!」って言い返される(苦笑)。それがまた的を得ててね。
A 結構、胃にくるよね。うちの娘は高3になった今も、まだ厳しいよ。家事は手伝ってくれるけど、「やってあげてるんだから」といつもピリピリしてる。
B 私も娘に、「洗濯物を畳んでほしかった」とポロッと言ったら、「何言ってんの? 弟のお迎えに行って、洗濯物も干しておいてあげたのに」って怒られて。お礼から入るべきだった(苦笑)。
A 「家事はお母さんの仕事でしょ?」っていう気持ちがあるのよね。育て方間違えたと思ったもん。小さいときから、もっとお手伝いを徹底しておけば……。
B うちは大家族だから、お手伝いの習慣はあるけど、長女は中2ぐらいからお風呂掃除をやらなくなって。「私、シャワーしか使わないし。私が掃除するのっておかしくない?」って。それで兄弟ゲンカが始まり、5歳の息子が「お小遣いくれるんだったらやるよ~」って言う(笑)。
C あはは(笑)。
B 前はいろいろ手伝ってくれたんだけどね。今は何に対しても「めんどくさっ」って言うから。
A わかる!
B 注意すると、「うるさい!」って怒鳴られる。一言でとどめを刺されて、私は何も返せない。
C 怖いよ~(苦笑)。
A うちの娘も中学のときが一番イライラしてたわ。
B 学校での人間関係や受験のストレスで、今はあらゆることが内申書に響くから、学校生活も結構ストレスなのよね。
「実は私も母親に同じことをしてました」
A でも実は、私自身も母に対して厳しくて、母に女性としての理想像をすごく求めてたの。だから、当時の自分と今の娘の姿は重なるところも多いかな。
B そうだったんだ。
C 歴史は繰り返す(苦笑)。
A そうそう。うちは両親の仲が悪くて、母から父に対する愚痴を聞かされてたの。そのとき、「だったら離婚すれば」と母に言っちゃったり……。母に対して、「自立して、一生懸命に生きろ」的な本音をぶつけてました。
B それはお母さん、グサッとくるね(苦笑)。
A もちろん体裁もあるし、女手一つで育てていく生活力もないから、離婚できないことは子供心にわかってはいたんだけど。だから当時から、「私はこうはなってはいけない。女性も一生涯、手に職を持って生きていかなきゃ」と思ってた。
C そうだったんだぁ。
A それでね、その思いが家庭の不和を呼んだことがあったの。結婚10年目で夫が浮気して、相手も既婚者で、今で言う〝ダブル不倫〟。
B・C え~!?
A でも、すぐにバレて、夫は「離婚するつもりはない。不倫は止める」と。そのとき、前々から「夫が浮気をしたら別れよう」と思っていた自分に気づいたんだよね。
B へ~。
A ある意味、潜在意識で、私自身が離婚の理由を求めていたというか。それで、思いを変えなきゃと思って。「何かあったら離婚しよう」じゃなく、「何があっても添い遂げよう」と。夫と出会ったとき、ビビビッときて結婚したから、やっぱり縁があるだろうと思って。
B すごい、聖子ちゃんと一緒。
A そうよ(笑)。娘とぶつかっていたのも、私自身が「娘は性格が主人と似てて嫌」と思っていたからと気づいたの。それで、夫や娘への拒絶を止めて、受け入れようと意識したら、普通に会話ができるようになってきた。
C それまでは会話がなかったの?
A 話はしてたけど、やっぱりぎこちなくて。結局私は、両親に影響されて、幸せな家庭をイメージできていなかったんだよね。
夫婦調和に取り組んで娘の不登校が解決へ
C 私もAさんと重なるところがあるわ。うちも、母がいつも父のことを愚痴ってたの。経済的にも苦労してたから、「結婚しなきゃよかったのに」とか「子供産まなきゃよかったのに」と思ってた。そしたら私も、夫との関係がうまくいかなくて……。
A やっぱり~。
C そんなとき、中1の娘が突然不登校になったのよ。いじめではなく、女子同士の友達関係のストレスで。それで、私がとあるカウンセリングを受けたら、「娘さんの不登校克服のためにカウンセリングするわけではありません。あなたが変わる中で、不登校は治りますから」と言われたの。そしたら本当に、自分の問題が娘の問題と繋がっていることがわかってきてね。結局、原因は私だったのよ。
A 一般的にも、不登校の解決は「親が変わること」って言われてるよね。
B そうよね。Cさんの問題ってご主人とのこと?
C そう。結婚10年を過ぎたころから意見のすれ違いで、温厚だった主人が怒鳴ることが増えて怖くなり、会話がほとんどなくなっていたのよね。娘の不登校についても意見が対立して、さらに夫婦の溝ができて……。でも、カウンセラーからは「夫婦の会話を増やしてください」と言われる。それで、「主人との関係を改善しよう」と勇気を出して私から話しかけたり、週末の買い物をなるべく一緒に出かけたり、主人の寝顔に向かって、「ありがとうございます」と毎晩頭を下げたりしたの。そしたら主人もね、少しうれしそうな表情を浮かべるようになって。
B やっぱりご主人も会話がなくて寂しかったんだろうね。
C そうだと思う。同時に、娘への思いも見直して、「不登校の娘も愛そう。信じよう」と自分に言い聞かせた。「私は娘を条件付きで愛していたのかな」と思って、ありのままを愛そうと。そうするうちに娘は、高校進学のタイミングで、無事復学できたの。
A よかったね~。
C 不登校のおかげで、夫婦の葛藤もだいぶ緩和できました。
お互いの成長のために親子の縁を結んできた
B Cさんの娘さん、反抗期はあった?
C 高校に入ってから、遅咲きの反抗期はあったよ。帰宅時間が遅くて注意したら、すごく反発されて(苦笑)。でもよく見ていると、遅いなりに決まった時間には帰ってきてたから、信頼して注意しなくなったら落ち着いてきた。
A 言えば言うほどエスカレートするからね。
C そうよね。親としては心配だし、口を出したくなるけど、「うちの子は自由にさせないとダメなんだ」と気づいて。子供の性格を受け入れたの。失敗したらしたでそれも勉強だし、止めても言うこと聞かないし(笑)。
A 1人目はつい過保護に心配しちゃうのよ。それで、自分の思う〝いい子〟に導きたくなる。
B わかる。1人目のときは正直、「思い通りにしたい」と思ってたけど、子供って思い通りにならない。絶対反発するから。今は子供が増えて、過保護にできないし、自分のことは自分でやるしかないから、逆にのびのびしてるかも(笑)。
A 適度に放っておいたほうが、立派になったりするよね。
C そうそう。
A 親も完璧じゃないからね。子育てしながら、自分の課題も乗り越えていかなきゃいけない。私にとって娘は、自分の欠点を目の前で映し出される鏡みたいな感じ。だから、イライラしてしまって。お互いにできていないところが見えるから、突かれるとすごく痛いの。子育てってほんとにいい〝修行〟です。
B 確かに私も、主人から「娘と似てる」って言われる(苦笑)。
C お互い成長するために、親子の縁を結んできたんだもんね。
A そうそう。
B うちは今まだ、思春期真っ最中だけど、ぶつかり合いつつ、個性を受け入れて、共に成長していくわ。
A・C 頑張ろうね!(笑)。
(「Are You Happy?」2016年6月号)