〔今回のお悩み〕
小学校から陸上クラブに所属していた娘は、陸上の強化部がある憧れの私立中学校に進学しましたが、中学2年生になり、部活の厳しさについていけなくなったのか、「辞めたい」と言い出しました。私は、本人の希望通りの選択をしたらよいと思う一方、あれだけ憧れていた部活をあきらめて本当に本人が後悔しないか気になります。どうしたらよいでしょうか。
中学2年生の女の子のママ (40代)
部活動や委員会での経験は後になって効いてくる
まず大事なことは、結論を急ぎすぎて後悔しないよう、よく考えたうえで答えを出したほうがよいということです。大会で実績のある強豪校であれば、ある程度の部活の厳しさは当たり前ですし、本人もそれを承知のうえで私立の学校を選んだのだと思います。娘さんが、小学校から続けた陸上を、今も好きなことに変わりがなければ、「辞める」という結論を急ぎすぎないほうがよいでしょう。
私も娘さんと同じく、小学校から陸上を始め、卒業後も、中学校、高等学校で6年間、陸上部に所属していました。中学時代、放課後の練習は毎日厳しく、朝の練習もありました。今、社会人になってみると、学力が仕事の基礎になっているように、部活動の経験が、仕事に大きく役立っています。大会では、たいした成果は出せませんでしたが、中学時代の部活動やクラスの学級委員を経験したことなどの持つ意義は大きく、「これほど役に立つものか」と実感しています。さらに、一つのことを辞めずに継続したという経験が、自分の忍耐力、精神力に対する自信となり、困難を乗り越える力になっています。
一方、お子さんが現在の学校を志望した動機が陸上部であっても、それが生活のすべてではありません。私が校長を務める中学校は、部活動を全員に勧めますが、なかには一度入部した後、熟慮を重ねた結果、転部する生徒もいます。
学校には、運動部だけでなく、文化部や、委員会活動、ボランティア活動、生徒会など、人格を高めてくれる魅力的な活動が他にもいっぱいあります。そのなかから自分に合ったものに参加してみると、入学時には想像していなかった意外な自分の生きがいが見つかるかもしれません。そうしたものに出合って、卒業まで有意義な時間を過ごせた、という卒業生もいました。
子供が出した結論を受け入れ、よき相談役になろう
母親としてできることは、娘さんが相談したい時に、話を聞きつつ、最後は、本人が決めた結論を受け入れることです。もし辞めた場合、その後に新しく打ち込めるもの、やりがいが見つかれば、それも大きな人生経験です。
要は、中学時代という二度とない、貴重な時期に、魂の糧となるような時間の使い方を選択することです。一つのことをやり遂げる大事さを教えつつも、もし辞めた場合は、その後のフォローのほうが大事なので、充実した生活を送ることができるよう、応援してください。最後は、娘さんがどちらを選択しても、お母さんはいつも味方であり、相談があれば何でも聞くからね、というスタンスでいてあげれば、娘さんもまた力強く一歩を踏み出せるはずです。もう大丈夫!!
(「Are You Happy?」2019年10月号)