体が変化するなかでいかに幸福に生きるかが大切です<ナグモ歯科赤坂クリニック副院長/メノポーズカウンセラー 佐藤由紀子さん>(2018年7月号)

歯科医として口元からの美と健康を追求するかたわら、更年期からのヘルスケアを専門とする“メノポーズカウンセラー”の活動もスタートさせた佐藤由紀子先生に、閉経前後の女性の心身の変化についてインタビュー。

更年期と女性ホルモン

「メノポーズ」とは閉経や更年期という意味で、メノポーズカウンセラーは、更年期障害の治療についてだけでなく、更年期(主に45~55歳)から生涯にわたる女性のヘルスケアについての相談や正しい情報の普及に努めています。

更年期になると多くの方が、汗が大量に出るホットフラッシュ、頭痛、肩こり、耳鳴り、めまい、手足の冷え、うつ症状といった不定愁訴を実感するようになります。こうした更年期症状はエストロゲンという女性ホルモンの分泌量が急激に減ることによって起こります。

更年期症状のうち、うつ症状が強くて起き上がれない、あるいは一日に何度も着替えなければならないほど汗をかくなど、日常生活に支障をきたすものを更年期障害と言います。また、“ポスト更年期”(主に55歳以降)には、動脈硬化や認知症、脂質異常症、骨粗しょう症、頻尿など、さまざまな病気を引き起こします。

 

30代後半で“プレ更年期”に

女性は30代後半から“プレ更年期”に悩む人が増えますが、私自身、37歳のときに不正出血があって、すごく落ち込んでしまったことがありました。気落ちしてお化粧もせずに病院に行ったらビタミンCと向精神薬を処方されたので、おそらくうつだと思われたのでしょう。でも結果的にそれを契機にして、「若さや外見といった移ろいゆくものではなく、心のほうを強くしよう」と切り替えられたのはよかったと思います。女性も40歳ぐらいになると肉体的な若さに頼ることができなくなるので、何によって自分を支えていくか、価値観を考え始める時期なのですね。

その後、訪れた更年期では、一気に肌の潤いがなくなって手がごわごわになり、指の関節が太くなって指輪が全部入らなくなってしまうという変化がありました。とにかく疲れて何もやる気になれなくて、「もうがんばれない」と、精神的に沼の底にいるような状態も半年経験しました。

60歳を過ぎた今は、肌や筋力の衰えや冷え、関節痛も出たので、ホルモン補充療法を始めて様子を見ているところです。

 

老い、失っていくなかでいかに幸福に生きていくか

すべての人が女性ホルモンの変化による何らかの体調変化は経験するものですので、「体が変化するなかでいかに幸福に生きていくか」が、女性にとって大きなテーマになっていると感じます。そのときに自分の価値を、若さや美しさといった変化するものに置いていたら自分を支えきれません。老いというのはいろんなものを失っていくことです。自分の肉体の若さだけではなく、家族の誰かが亡くなったり、子供が巣立っていったり、失う悲しみそのものから逃げることはできません。そのときに失わないもの― 心の価値に目覚めることこそが、一人ひとりが自分の人生を通してつかまなければならない、いちばん大事なことだと思っています。

 

あなたはどう?更年期障害&プレ更年期チェック

□ 顔がほてる
□ 汗をかきやすい
□ 顔や手足が冷えやすい
□ 息切れ、動悸がする
□ 寝つきが悪い、または眠りが浅い
□ 怒りやすく、すぐイライラする
□ くよくよしたり、憂うつになることがある
□ 頭痛、めまい、吐き気がよくある
□ 疲れやすい
□ 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
□ 生理が不規則になった
□ ストレスの多い生活をしている

 


それではチェック結果を見てみましょう。

5~12個

更年期障害・プレ更年期の恐れがあります。婦人科の更年期・閉経外来の受診がおすすめです。

3~4個

多少の症状が見られます。食事や運動などの生活習慣を改善しましょう。

2個以下

更年期障害・プレ更年期の心配はありません。

 

チェックが少なくても生活に支障が出るほどつらいものがある場合は、婦人科の更年期・閉経外来に相談することをおすすめします。血液検査で女性ホルモンの数値を調べると、それがホルモンの減少によるものかどうかが分かります。

(「Are You Happy?2018年7月号)

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