夫は日ごろ、妻のどんな言葉に喜び、ヘコんでいるのか―― そのホンネを探るべく、既婚男性3名の覆面座談会を開催しました。
Aさん:介護職。37歳・結婚11年目。一男二女の父。年初、坊主にして心機一転。近々、映像関係の仕事に転職予定。
Bさん:歌手。42歳・結婚14年目。二男の父。最近、ふたり目の息子が生まれたばかり。
Cさん:会社員。51歳・結婚19年目。三男の父。休みの日には腕をふるって料理するマイホームパパ。
妻が子どもの前で「こんな人と結婚しなければよかった!」
編集部(以下、――)本日はお集まりいただき、ありがとうございます。さっそくですが、みなさんが奥様から言われて傷ついた言葉を教えていただけますか?
B うちは僕も奥さんも歌手をしていて同業なんです。奥さんは僕の歌をほめてくれるんだけど、正直、ダメ出しが一番きついのも奥さんで(苦笑)。身内ってストレートじゃないですか。「私が一番のファンだよ」と言いながら、ぽろっと出た言葉がキツくて、「そこはあえて、ほめて……」と思っちゃいます。もちろん、愛情があるからこそ言ってくれてるのはわかってるんですけどね。
A うちは最近、子どもの前でも夫婦ゲンカをするようになってしまって、妻が、「こんな人と結婚しなきゃよかった!」とか軽く言うんですよ。僕とふたりだったら別にいいんだけど、子どもの前で言うと子どもがかわいそうで。
B うちもふたりのときはしょっちゅう言われる(笑)
A 実は最近も離婚の話が出たんです。お互い本当に忙しくて、すれ違いで。それで言い合いになったとき、妻から「もう別れる!」って散々言われたんです。僕は、「まあまあ」と止めたんだけど。でも、離婚話も今に始まったことではなかったので、僕も考えてはいて、次に子どもの前で「別れよう」と言われたら、本当に別れようと思っていたんです。
そしたら、次にケンカしたときは、「別れよう」とは言われなかったんですよね。それでまさに今日、ここに来る前に車の中で、「実は、僕はそう思ってたんだよ」っていう話をしたら、妻はすごいびっくりして、「あのとき『別れる』って言わなくてよかった」って。「そういう風に考えてるなんて思わなかった……」って、結構ショックだったみたいです。
――女性が感情にまかせて言ってしまったことを、男性はリアルに考えていたりするんですね。
A そうそう、妻は「そこまで真剣に考えていなかった」って言ってました。感情的になって、軽はずみに言っちゃったようです。
「お父さんだってすごいのよ!」と言われて父親として浮かばれた
――逆に、奥様に言われてうれしかった言葉はありますか?
B 妻から直接言われたことではないんですけど……。今、上の息子が怪獣の絵を描いて、「レベル50」とかってランク付けをする遊びにハマっているんです。それが最近、家族にレベルをつけるようになって(笑)。弟は50レベル、ママは100レベルだったのに、パパは1万レベルだったんです! たぶん奥さんが普段から、「パパはすごいんだよ」、「パパのおかげで、ご飯を食べられるんだよ」とほめてくれているからだと思います。僕からも教育上、そういうふうに言ってと頼んでいたんですが、「1万レベル」を見たときに、本当に言ってくれてるんだなってうれしかった。
――Cさんはいかがですか?
C うちは子どもが中高生なので、家で進学の話がよく話題になるんです。早稲田、慶応とか、あと明治、青学、中央の〝マーチ〟とか? 私はその話についていけなくて、いつも置いてけぼりだったんですけど、家内があるとき、「お父さんだってすごいのよ」って。「若いころ、1500人受けて60人しか通らない劇団のオーディションに合格して、なおかつ最後の2、3人に残ったの。これは東大に行くよりすごいのよ」って言ってくれたんです。おっ、よくわかってるじゃないかと(笑)。家内が助け舟を出してくれて、父親として、少しは浮かばれたかな。お母さんから子どもに、お父さんのいいところをどんどん言ってくれるとうれしいですね……
B 嘘でもいいので言ってほしい。
A うちは、ことあるごとに、妻が「ありがとう」と言ってくれるんです。それを聞いて、子どもたちも、自然と「ありがとう」と言えるようになったかな。日ごろから言葉に出して言ってくれるので、やっぱりうれしいですね。自分でも気づかないところをほめてくれたりもするから。
メモ用紙に 「いつも笑顔が素敵だね」と書いて食器棚に
――ところで、みなさんのほうから、奥様をほめることは……?
B うちは、今回この企画に出るって言ったら、「私のことを全然ほめてないくせに、何をしゃべってくるの? あることないことしゃべってくるんじゃないの?」って問い詰められました(笑)。
でも確かに、昔は普通にほめていたのに、子どもができてから、なんか照れくさくって、あんまりほめていないなぁと反省中。
C ほめたいなとは思うけど、照れくさくて言えないときはある。
A 僕も面と向かっては照れるから、手紙で伝えるようにしています。1、2週間くらい前にも、小さいメモ用紙一枚一枚に妻への感謝の言葉を書いたんです。「いつも笑顔が素敵だね」とか、「○○をやってくれてありがとう」とか。それを引き出しや、食器棚の皿と皿の間に隠して……。
C えっ!? それを奥さんが見つけるの?
A そう。最近、妻は娘の習い事の送り迎えをしつつ、家事や仕事もこなして大変そうだったので、ちょっとやってみようと思いついて。それで、何日か前、家にいるときに、突然妻の泣き声が聞こえたので、どうした!? と思って駆け寄ったら、涙目で「ありがとう、あなた!」って。
B それ、使わせていただきます。
(一同笑)
C 私はよく失敗するんですよ。家内が髪を切っても気づかなくって。息子たちは、「おっ、お母さん髪の毛切ったね。いいじゃん」って上手にほめるんだけど……。珍しく私から、「髪の毛、切った? いいね」ってほめたら、「切りすぎたのよ!」って逆に怒られて。ほめるのって難しい。
――ほめたい気持ちはあるけれど、照れくさかったり、逆効果だったり、苦労されているんですね。
B 言葉だけじゃなく、行動で示すのも大事ですよね。以前、夫婦間で少し気まずい空気になったとき、それを同僚に相談したら、「お皿でも洗ってあげたらどうですか」って言われて。それで早速実行したら、次の日、奥さんの機嫌がすっごくいい! 「これは続けよう」と思った。
A 僕はお皿を洗うついでにシンクまわりも磨いたりしてます。でも「僕がやってるんだぞ」みたいにやると、逆に妻をヘコませてしまうので、ときどき手伝う感じかな。
B あと、僕は奥さんの話をとにかく聞くようにしてる。「うんうん」って毎日30分ぐらい。疲れてきても、「うんうん」っていう顔をつくって(笑)。さすがに1時間ぐらい経つと向こうも気づいて、「聞いてんの?」って言われるけど(笑)。女性は話を聞いてあげるだけで、「自分のことをわかってくれた」と思うみたい。奥さんがママ友に僕の話をしたら、「そんなに話を聞いてくれる、いい旦那さんはいない」って。僕、育児や家事は全然手伝っていないのに、ママ友の間では「Aさんの旦那さんは、いい旦那さん」って、上位ランクらしいですよ(笑)。
年に2回ぐらいは父親も子どもにキレたほうがいい
――少し話は変わりますが、子育ての「ほめる」「叱る」はどうされていますか?
B 子育てでは、「奥さんが叱って、僕がほめる」っていう役割分担があるかな。でも、年に2回ぐらいは、父親もキレたほうがいいですよね。一カ月ぐらい前、宿題のことでグズグズ言ってる息子に本気で怒ったら、後で奥さんにほめられました。ママ友に、「パパが一緒に怒ってくれたの!」ってメールして、すっごく喜んでた。
C 実は私も、子どもたちがもう寝る時間なのにゲームをしていたから、「お前ら! いつまでやってんだ」って、ゲーム機をふたつバキッバキッと折って、ゴミ箱に捨てたことがあります。
B・A あははは!
C そしたら家内から、「でもあれ、1個3万円するのよっ」って言われて。そんなに高いと知ってたら、預かっておく程度にしたのに!(一同笑) でも、それ以来、子どもたちが言うことを聞かないと家内が、「お父さんが怒ったら恐いの知ってるでしょ?」って言うようになりました。ちょっとは見直してくれたかな(笑)。
年代とともに考え方を変えていくことが結婚生活の秘訣
C 結婚当初は、家内に対して不満もあったんですけど、家事や子育てをがんばってる姿を見てると、すべて許せちゃうというか、年代とともに見方が変わってきましたね。やっぱり、考え方を変えていかないと、夫婦って一緒にいられないと思うんですよ。
何年か前に家内が仕事に復帰したんですけど、正直私は、専業主婦で支えてほしいと思っていたので、結婚生活が成り立たないかもと不安に感じたんですね。
A それ、すごくわかります。
C でも、そのときに気づいたんです。家内も結婚してから、ずっと自分を変えつつ、私に合わせてくれていたんだって。だから、今度は私が変わる番だって思った。
B うちは、奥さんの性格を見てると結構サバサバしてて男っぽいから、子どもを産んで育てているだけでもすごいと思ってて。魂は男なのかも?(笑) でも、そう思うと、家事や育児をしてくれているだけで感謝できる。
A 僕自身は生まれてすぐ両親が離婚して、母の顔を知らないんですよ。今どこにいるのかも知らない。でも、産んでくれたから、妻とも出会えて、家庭を築くことができた。だから、女性はほんとにすごいなって思う。妻に対しても、「子どもを産んでくれてありがとう」って心から感謝してます。
――最後はみなさん、奥様への感謝の言葉でしめていただきまして、一時はどうなることかと思いましたが(笑)、ホッとしました。今日は普段聞けないホンネを語っていただき、ありがとうございました!