胎内記憶や前世記憶など、出生前記憶研究の第一人者として、現在までに3500人もの親子の声を聞いてきた池川明さん。
研究を進めるなかで分かったことや、出生前記憶についての最新情報、自身が提唱する胎教のコツについてうかがいました。
出生前記憶との出合い
1999年ごろに、生まれる前の記憶を持った子供たちの実話などが書かれた『生きがいの創造』(PHP研究所)という本に出合いました。
産婦人科では習わないことですし、「本当にあったらおもしろいな」と思っていたところ、身近なスタッフにも「うちの甥っ子は胎内記憶がありますよ」とか「うちの孫もありますよ」と言う人が何人もいたんです。
妊婦健診に来た方の中にも「実はうちの子、おなかの中にいたときのことをしゃべるんです」という人がたくさんいて、案外普通に起きていることなんだと感じました。
本腰を入れて出生前記憶について調べ始めたのは、2000年前後です。
2001年に調査結果を保団連(全国保険医団体連合会)の医療学習研究会で発表して、その発表内容が全国紙(朝日新聞)に出ると、知る人が増えました。
その後、2002年から翌年にかけて、長野県で3601組の親子を対象として、大規模な出生前記憶(胎内記憶、前世記憶など)のアンケート調査を行って、学会でも発表しました。
当時は風当たりが強くて、「そんなのあるわけない」と怪しまれることも多かったのですが、続けていくうちに「実は私も……」という人がポツポツと出てき始めたんです。
おそらくそれ以前にも、「人に話すと変に思われるかな?」と、自分の中だけに留めてしまっていた人や、あえて子供にも言わせないようにしていた人も多かったのではないかと思います。
研究発表から17年が経って、出生前記憶について知っている人は増えました。最近では、若い男性でも興味を持ってくれる人がいるのでうれしいですね。
調べていくと、100人に1人の割合で何かしらの出生前記憶がある人がいるようなのですが、意外と、出生前記憶があるために生きづらくて、「自分は何で生まれてきたんだろう?」と悩んでいる方もいるんです。
子供たちが出生前記憶を語っている私の本を読んで、「自分だけじゃなかったんだ」と、前向きに生きられるようになった人もいます。
世間での理解が進めば、そういう方たちの生きづらさも軽減されるでしょうし、「自分の記憶はおかしい」と思わなくてよくなるでしょう。
もしお子さんが出生前記憶を話し始めたら、「何言ってるの?」と否定したりしないで、その話を信じてほしいと思います。
続きは本誌でお読みいただけます
▶ 生まれる場所や時間、名前も自分で選んでくる
▶ 流産した赤ちゃんからのメッセージ
▶ おすすめの胎教法
▶ 「なぜ生まれてきたの?」と質問すると…
池川クリニック院長・医学博士
1954年、東京都生まれ。池川クリニック院長。横浜市医師会理事。帝京大学医学部大学院卒業。医学博士。アメリカの出生前・周産期心理学協会 (APPPAH)会員。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。産婦人科医として出生前記憶について研究を進める第一人 者。『覚えてるよ! 生まれる前のこと』(幸福の科学出版)『ママ、生まれる前から大好きだよ!』(学習研究社)など著書多数。