古くから、各国の政治や経済の発展には、あげまん妻の力が働いていた!? 聖学院大学の鈴木真実哉教授に、政治・経済の実例なども含めた、あげまん妻になるためのルールをうかがいました。
一般的には、旦那さんやパートナーを出世させたり、経済的に発展させたりする、稼業でいえば商売繁盛型の妻のこと。幅広く見ると、あげまん妻タイプの女性は、パートナーだけでなく、自分で商売などを始めてもうまくいく傾向があります。富を引き寄せるコツを知り、オーラを放っているんですね。そういった女性の共通点を6点ご紹介します。
作法やルールを守ることは、初対面の方から信用される大きなポイント。お金持ちの家ほど片付いているといいますが、それはその家の調和がとれ、秩序があるということです。その調和が富を呼び込んでいるのです。礼儀正しい方は常に周りに気を配っています。礼儀作法はやさしさであり、愛であり、思いやりです。「親しき仲にも礼儀あり」という言葉がありますが、あげまん妻は、夫婦でも“超えてはいけない一線”を崩しません。夫相手にも、自分が人としての礼儀や礼節に反していないかを常に考えているのです。
北政所やサッチャーなど、「国家のあげまん」の人生からもわかるように、あげまん妻には、苦難や困難を乗り越える力が欠かせません。下積み時代や苦労時代など、どんな環境でも愚痴をこぼさず、明るく積極的な未来をイメージできる。そして単なる能天気ではなく、肝の据わった、信念を持った明るさを持っている。その姿が夫や周りの人を勇気づけていきます。
日本を発展へと導いた北政所
一介の農民の子と結婚して貧しい生活を健気に支え、夫を天下人・秀吉になるまで出世させた北政所。豊臣政権の事実上の参謀役として、朝廷との交渉など内政を仕切り、秀吉を支えました。秀吉も北政所を大切にし、阿吽の呼吸でお互いを信じ合っていたそうです。秀吉が天下人なら、正妻の北政所は、日本という国をまとめ、発展へと導いた日本の母、日本全体のあげまんといえるでしょう。
2のポジティブ・シンキング、つまり信念を持った明るさを持つには、神への信仰心が不可欠です。神仏という大いなる存在を信じるからこそ情熱が湧き、その情熱がどんな苦難や困難をも乗り越える糧となるのです。現在でも、経営者や一流会社の社長には、信仰心が篤い方が多いこともその証拠。経営や富を生むために、自分ひとりで責任をもって判断するという孤独に直面したとき、人は神の方向を向き、神に判断を仰ぎます。大いなる存在に対して畏敬の念を持つ謙虚さが、あげまん力にもつながるのです。
“夫婦は平等”と思ってライバル視するのではなく、妻は夫に対して一歩引き、夫を“勝たせて”あげましょう。そんな献身的な姿勢が、あげまん妻には欠かせません。まずは、自分の都合を優先させるのではなく、夫の立場に立っていろいろと判断し、行動すること。相手の気持ちを考えることは、「お客様の立場に立つ」というビジネスの基本でもあり、これができる企業やお店は発展していきます。
賢い女性ほど「完璧でいたい」と思うかもしれませんが、とくに男性はプライドと同時に劣等感を抱えています。妻があまりに完璧だと、夫は劣等感を感じ、言いたいことを言ったり、素の自分をさらけ出したりできなくなります。家庭は学校ではありません。白黒や美醜、善悪などをはっきりつけず、あいまいにすることも必要なのです。普段はビシビシと瞬時に判断している経営者や大統領も、家庭はくつろぐ場としてオンオフをはっきりさせています。
目の前のことだけで判断すると、その場では正解かもしれませんが、大きな目で見ると間違っていることが多いのです。たとえば、子どもが「おなかがすいた」と泣いているときにケーキをあげて、子どもは満足する。その場ではいいことかもしれませんが、それが夕食の直前だったらどうでしょうか。これは企業も同じです。成長・発展する会社は、目先の利益だけで判断せず、大局的に見ての正しさを常に問い続けています。大局観は、これまでお伝えした1から5のすべての法則に通じます。「ミクロではなくマクロではどうなのか」を常に考え、行動できる妻こそが、大局観のある“あげまん妻”なのです。
Q.「夫は私を理解してくれる、一番のパートナー。何でも本音で話し合いたいのですが…」
A.“「妻」という名の公人”であるというイメージを持って、一線を引いて
たしかにご主人は、他の人と比較すれば、あなたの一番の理解者かもしれません。しかし夫婦といっても魂は別ですから、どうしても100%を理解することはできないでしょう。同様に、あなたも夫を100%理解することは不可能です。「理解してもらえるはず」「わかってほしい」と感情をぶつけるのではなく、“「妻」という名の公人”の立場でいるイメージで、一線を引いた形で接していくことで、結果的にはお互いをますます理解し合えるでしょう。
Q.夫は魅力もないし、仕事もイマイチ。「この人を“あげ”たい!」とは、思えないのですが…
A.夫を出世させることこそが自分の仕事と信じましょう
夫を「自分のあげまん力を発揮する器ではない」と思っているということは、あなた自身の“あげまん力”を否定しているのと同じです。すべては信じることから始まります。夫や環境のせいにするのではなく、まずは考え方を変えてみましょう。たとえ人生のどん底にいても、考え方ひとつで道がひらけ、立派な人間になることができます。「この人を出世させるのが、私の天命!」と信じて、あげまん力を発揮していきましょう。
Q.夫のことは好きですが、この気持ちはたぶん家族愛。こんな私でもあげまん妻になれますか?
A.夫にもう一度、恋をしましょう
恋愛をすると心がフレキシブルになり、希望や向上心が湧いてきます。夫や会社、企業やお店などすべてに共通するのは、「発展=希望がある」ということ。もう一度、夫を好きになりましょう。そのためには、相手のいいところだけを見ることです。「下着姿でソファでごろごろしている」「休日は昼過ぎまで寝ている」姿ではなく、「今日も元気に会社に行ってくれる」「今日も『ただいま』と、家族におみやげを持って帰ってきてくれる」姿こそが夫の本来の姿と思い、恋人時代の感覚を思い出してみましょう。
(2014年7月号)
鈴木真実哉
ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ経営成功学部ディーン
1954年埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科修士課程と博士課程で応用経済学を専攻。玉川大学、法政大学講師、上武大学助教授、聖学院大学教授等を経て、2015年4月よりハッピー・サイエンス・ユニバーシティ 経営成功学部 ディーン。同学部プロフェッサー。著書に『理工系学生のための経済学入門』(文眞堂)他がある。