買い与える前に、親が考えるべきこと
今や「ゲーム」といえば、DSやプレステなどの家庭用ゲーム機か、スマホやPCのアプリゲームを指しますが、ゲームとは、もともと、ルールのある遊び全般を指す言葉です。
缶けりや泥警、野球やサッカー、チェス、将棋、トランプ、お正月のすごろくなど、みんなゲームの仲間です。
ゲームは大昔からありました。近年の哲学者や社会学者は、「ゲームとは、楽しむことを目的としたルールのある遊びで、生産性はなく、現実から切り離されたものであることを参加者が知っている」などと定義しています。
現実的な生活の中で日々忙しく過ごす主婦が、デジタルゲームに熱中するご主人や子どもを見ると、つい「暇ね~。そんな時間があったらちょっとは身になることをしたら?」と、嫌味のひとつも言いたくなります。電車の中で、カラフルな丸いぷよぷよしたものを消すことに熱中する人たちを見ると、日本の将来を危うく感じたりもします。
デジタルゲームも遊びのひとつですが、同じゲームでも、泥警やサッカーや将棋は健全だと思えるのに、なぜデジタルゲームは「良くない」感じがするのでしょうか。
ゲームVS自制心
ひとつには、携帯型ゲームの出現によって、老若男女誰でも、いつでもどこでも自分ひとりで無制限に遊べるようになったこと。それから、不思議な中毒性があること、つまり、のめりこみやすいということです。
一定の理性や自制心がきちんと働く人、また生活のために働かなければいけない大人は、ゲームを手にしても比較的ブレーキがかかりやすいでしょう。
しかし、子どもは、理性と自制心が未発達で、自分でブレーキがなかなかかけられません。また、ゲームをしている時間が長くなると、勉強時間や読書の時間、深い思索をする時間、美しく豊かな情操が育まれる時間がどんどん減っていきます。その結果、粗雑な思考力や精神性しか育たなくなる可能性がある。ここが問題だと思います。
30分なら30分だけゲームをするのは、そう害のあることではないかもしれませんが、生活時間と頭の中をゲームにジャックされないように、冷静な理性を持っていなければいけません。
子どもの場合は、その理性が未熟なので、親が内容と時間に制限を与える必要があるでしょう。制限を与える自信がないなら、いっそ買わないほうが親もイライラしなくてすみますね。
「家族でボードゲーム」はいかが?
なにも、子どもにゲーム機を与えるか与えないかの二択しかないわけではありません。アナログですが、家族で盛り上がれる知的なボードゲームが日本にも世界にもたくさんあるんですよ。
イチオシは、フランスの特殊四目並べ「クアルト」。他に、ドイツの足し算ゲーム「びっぐテン」、共通する絵柄を素早く見つける「ドブル」、意外と大人が勝てない「漢字博士」、推理力が鍛えられる「マスターマインド」など、まだまだいっぱいあります。家族でテーブルを囲み、相手の表情を読みながら、心理戦も使ってスリルのある一家団欒を楽しんでみませんか? お子さんもきっとノッてきますよ。
Illustration by Mika Kameo
(「Are You Happy?」2013年12月号)
奥田敬子
早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。