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【子育て110番】本嫌いが本好きになる! 勉強嫌いが勉強好きになる! キーワードは「ドキドキ」

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文字を読むのが超苦手だった

子どものころ、私は、本や教科書の文字を読むのが苦手でした。今でもはっきり記憶に残っているほど、本を読むことに苦痛を感じていたのです。クラスで読書のページ数を競う「秋の読書マラソン」では、3年生までクラスでもビリのほうでした。

半面、耳学問は得意だったので、勉強は授業を「聞いて」覚えました。しかし、この勉強の仕方は長くは通用しません。新しいことや分からないことを、自分で調べて、考えて、理解するためには、「読む」という能動的な行為がどうしても必要だからです。

読書量がとても少なかった私は、誰にも言わなかったけれど、心の奥で「このままでは勉強が遅れるんじゃないかな」といつも不安に思っていました。そんな私に、大きな変化が訪れます。

 

「レモン哀歌」

4年生のとき、三つ上の姉が、高村光太郎の詩「レモン哀歌」を教えてくれました。

「そんなにもあなたはレモンを待っていた」で始まるこの詩は、心の病で入院した、光太郎の妻・智恵子が、最期の瞬間に覚醒するその一瞬を描いた詩です。「トパアズ色の香気」って、どんな匂い?「あなたの咽喉に嵐はあるが」って、智恵子はどれくらい苦しかったの? 私は、その豊かで研ぎ澄まされた言葉の世界に心を奪われ、それから、たくさん本を読み始めました。

森鴎外の名作『高瀬舟』にこんな一節があります。「知恩院の桜が入相の鐘に散る春の夕べに、これまで類のない、珍しい罪人が高瀬舟に乗せられた」――夕暮れの高瀬川に、暮れ六つの鐘がゴーンと鳴って、桜がはらはらと散る。船に乗っているのは、なんとこれまでいなかったような珍しい罪人! 私はドキドキしながらその先を読みました。

「選ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」――これは太宰治の『晩年』の中の「葉」の冒頭に出てくるヴェルレーヌの詩です。神に選ばれた人間の恍惚と不安、分かるな~、なんて思いながら読んでいましたが、何のことはない、自分だけは特別だと思い込む、今でいう“中二病”ってやつです。

 

知らないことを知るってうれしい!

本好き、勉強好きを百人集めて「なんで好きなの?」と聞いたら、多くの人はきっと「だって楽しいから! 知らないことを知るって、うれしいから!」と答えるでしょう。本を読まない子も、勉強が嫌いだと思っている子も、まだ、その楽しさや喜びに出会えていないだけじゃないかな?

うちの子は本なんて読まない、勉強をしたがらない、と思っているパパやママに、ぜひおすすめなのが、今年のベストセラー『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)です。

高校2年のときの彼女は、聖徳太子を「せいとくたこ」と読み、日本地図を描かせたら、○を一個描く子でした。ところが、自分を褒めて期待してくれる塾の先生に出会い、少し勉強を始めた彼女は、まず自分の無知を知り、次に知ることの喜びを覚えます。そこから、彼女の努力が始まります。

パパママ、ぜひ子どもたちに、「知る喜びを知る」きっかけを与えてみてあげてください。

Illustration by Mika Kameo

 
(「Are You Happy?」2014年10月号)

奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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