時間のムダをなくしましょう【女性のためのトランスフォーム仕事術】

時間のムダアイキャッチ

時間ドロボーを退治する

トランスフォーム仕事術の中で、時間術のポイントは「ムダな時間を省く」ことです。本来は、どんな仕事であっても〝ムダ〟というものはありません。一見ムダでも、あとで教訓となったということもありますから、ムダもムダでなくなります。
が、ここで言うのは「時間の浪費」ということです。どんな必要なことでも、それ以上やる必要がないのに上塗りすると、それは「時間ドロボー」と呼ばれます。時間を奪いとられてしまう、時間のムダ使いということです。いくつか例をあげてみましょう。

●ネットから情報収集
情報を得るというのは、ビジネスにおいては欠かせないことです。しかし、商談で10分しか話さないテーマを、10時間、20時間かけて調べていたら、これは立派な時間ドロボーになります。
ネットサーフィンは、それが目的化してしまうと、時間ドロボーの中でも代表と言えるものになります。

●コミュニケーション
人間関係を良好にしておくことは、ビジネスを進めていく上で欠かせない土台になるものです。いきなり用件のみという会話よりも、深いおつき合いができていた方が、より親密なWIN‐WIN的なビジネスができます。
しかし、取引先との関係づくりと称して、一日に3時間も長電話していたらどうでしょうか? これはもう、時間ドロボーとなってしまうわけです。

このほかにも、置いたはずの場所に書類がない、メールの処理に長い時間をかける、渋滞に巻き込まれる、定時に始まらない会議、段取りの悪さからくる二度手間、三度手間……。すべて時間ドロボーとなってしまいます。
どんな人でも、時間ドロボーを克服、退治していけば、一日に30分~1時間は「使える時間」が増えます。

 

最低ふたつの退治法を考えましょう

では、「Hоw tо dо」、どのように退治したらいいでしょうか?

私のおすすめは、最低ふたつの解決法を具体的に考えて実行していくことです。
具体的にというのは、「長電話をしないようにする」とか、「会議を短くする」という形ではなく、もう一歩踏みこんで考えます。
たとえば、「電話の横にタイマーをおいて、15分以内に切り上げる」とか、「ファシリテーターを決めて、終わり時間を定める」というように。
しかもひとつでなくふたつです。というのは、ひとつだけのアイデアですと、万一それがうまくいかないと、そこでストップしてしまうからです。

時間のムダ①(トランスフォーム仕事術)

私の研修先で、営業マンが車の渋滞に巻き込まれるという時間ドロボーに悩んでいるのがはっきりしました。
私はいつものように「最低ふたつ」を考え出させました。
1.全車両にカーナビをつける
2.ニュースで確認してから出かける
3.先に出た営業マンと情報交換
この3つが多く出たアイデアです。幸いなことに、そこには偉い人が参加していて、「よし、カーナビつけるぞ」と号令して決めてくれたので、その後、本来やるべき営業の仕事に時間がたっぷりとれるようになり、売り上げも伸びました。
しかし、そこの会社のように決定権のある人がいなければカーナビはつけられず、もしアイデアがひとつだけなら、そこでオシマイとなって、その後も渋滞に巻き込まれかねないわけです。これは一例ですが、常に、
○具体的に
○ふたつ以上の案
を出して実行しましょう。
ひとりで解決できるものもあれば、同じ部署内の共有ファイルのネーミングや、会社的なミーティング、社内システムなどのように、協力が必要な場合でも、じっくりと取り組んで必ず解決していきましょう。

 

スキマ時間専用のTо‐Doリストを

とはいうものの、自分では避けがたい時間ドロボーがあります。たとえば、乗っていた電車が故障で停まってしまったとか、訪問先の担当者の会議が長引いて待たされたとか……。
こういうとき、電車に「停まるな」とか、担当者に「会議を長引かせるな」といっても、そうはいきません。ではどうしたらいいでしょうか?
これは、そのものを退治できないので、空いた時間、スキマ時間専用の「やるべきことリスト」「To‐Doリスト」を作って、あらかじめ、〝準備〟しておくのです。これが、タイムマネジメントの中でのリスクマネジメントになります。

時間のムダ②

熱心な方は、毎日のビジネスでもプライベートでも、To‐Doリストを作っているかもしれません。しかし、ここでいうTo‐Doリストは、あくまでも突発的なスキマ時間用なので、いつも持っておくのです。また、日によって、スキマ時間は多い少ないがありますから、一日で終わるとも限りません。

ポイントは、大きな仕事はできないので、小仕事に限ることです。
○時間があればやった方がいいこと
○ファイリングしなくてもいいこと
○15分前後でできそうなこと
にしぼりこんでリスト化しておきましょう。

今月のポイント

 
(2009年11月号)

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松本幸夫 

ヒューマンラーニング代表 / 人材育成コンサルタント

1958年東京生まれ。著作は170冊を超え、年間約200回行う研修・講演のリピート率は92%という実績を誇る仕事術の達人。主な著書に『百田尚樹に学ぶヒットを生む仕事術』(総合法令出版)『人生がうまくいく「呼吸法」』(PHP研究所)『自己能力を10倍高めるトランスフォーム仕事術』(幸福の科学出版)『超強運』(あ・うん)『図解 スティーブ・ジョブズのプレゼン術』(総合法令出版)など。著作は、韓国、台湾でも翻訳され、ベストセラーとなっている。