仕事に優先順位をつけましょう【女性のためのトランスフォーム仕事術】

仕事は大変なものから手をつけましょう

私は、「楽円(園)の仕事は後回しにしましょう」と、タイムマネジメントのセミナーで説いています。どういう意味だかわかりますか?

にできる仕事
円滑にできる仕事
のことです。
つまり、あまり考えなくてもいいし、もう手慣れていて体でしっかり覚えているので、スピーディーにできる仕事のことです。

このような仕事は「ちょっと疲れたとき」や「スキマ時間」のような余り時間、午後に能率が下がってきたときにやれば十分なのです。あるいは、モチベーションを上げたいというときのハズミにしてみるのもよいでしょう。

会社に行ってすぐにやるべきことはほかにあります。
重要度の高い仕事
緊急な仕事
あなたにしかできない仕事
などなど、それは少々大変で、やっかいな仕事なのです。

というのは、多くの人は大変でやっかいな仕事ほど後回しにしてしまう傾向があるからです。トランスフォーム仕事術ではこれを「まったく逆にしなさい」と教えています。

つまり、大変な仕事にまず先に手をつけて、3分の1でも半分でもいいので、やりとげてしまうのです。すると、後がとても楽になりますよ。

トランスフォーム仕事術(優先順位

私も今、「戦国武将」と「計算法」の本を書いています。これはいつもの仕事術とはテーマが違うので、少々やっかいで、手強い仕事といえます。

しかし、それを後回しにしてしまっては、いつまでたっても進みません。研修がオフのとき、私は一気に戦国武将と計算法の原稿を、まず先に書くことにしています。

いちおう、計算法はほぼ書き終えまして、あとは戦国武将が半分くらいです。この後に、いつものテーマ、ビジネス書を書くようにスケジュールを組み、うまくいっています。

これはあなたの仕事に置き換えてみても、まったく同じなんです。
いつも「楽円仕事」は後でやれば大丈夫。大変に思える仕事に先に取りかかるようにしてみましょう。

 

葉っぱではなくて幹を見ましょう

木の葉っぱは、パラパラしていますね。仕事で大切なのは、この葉っぱのような細かい作業だけではありません。言うまでもなく、木で言えば、大きな太い幹に目を向けてみましょう。つまり、仕事の全体を見ることであり、優先度を決めることでもあります。

でも、どうでしょう。葉っぱのようなパラパラとした仕事をして、なんとなく一日を終えてしまうことってありませんか?

あの仕事をしなくちゃ、でもこっちも、あっ電話だ、クレーム対応しないと、今度は来客だ……というようにバタバタ、パラパラした仕事をして毎日をすごしてはいけません。

仕事に対しては、前向きに取り組まなければ成果は出しにくいものですが、このようなパラパラ仕事ではヤル気も湧きにくいでしょう。

20年以上前、デンマークのシステム手帳メーカーが開催するタイムマネジメントのセミナーに出たことがあります。デンマーク語では、このような全体を見ないパラパラした状態を「フラプシーハプシー」と言うのだそうです。なんとなくイメージできますよね。パラパラ仕事からの脱却は万国共通の課題のようです。

 

80対20の法則をマスターしよう

「80対20の法則」、別名、イタリアの経済学者の名からとった「パレートの法則」というものがあります。

トランスフォーム仕事術(優先順位3)

あなたのしている仕事のうち、ほんの20%の〝コア〟となる仕事時間が、成果の80%を占めている、という法則です。

トランスフォーム仕事術(優先順位2)

ここで、あなたのやっている仕事のどれが成果を出すもので、どれが成果を出さないものか、しっかりつかんでみましょう。あなたの仕事のコアとなるのは、「何の仕事をしているとき」でしょうか? それこそが、あなたの木の幹にあたるのです。

それ以外のパラパラ仕事、フラプシーハプシーの状態でやっている残りの80%の時間は、いくらやっても成果の20%にしかならないのです。

ちなみに私のコアの20%は、本や雑誌の原稿を書く時間。研修、講演を行なっている時間です。それらの仕事が木の幹の部分にあたります。この時間に自分のエネルギーを集中すること、また、この時間を多くとる工夫をすることが、正しい時間術、トランスフォーム仕事術なのです。

何よりも、大切な20%の仕事は、それを終えた後の充実感、達成感がまったく違います。そしてこの感覚こそ、「よし、次もガンバロウ!」という意欲につながっていきます。

さあ、あなたのコアとなる時間は何でしょうか? まずはそれを知ることからスタートです。

 

ポイント
①仕事は大変なものから手をつけ、「楽円仕事」は後回しにしましょう。
②仕事時間の20%が、成果の80%を生んでいます。あなたの仕事の核になる20%は何かを見極めましょう。

 
(「Are You Happy?」2009年12月号)

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松本幸夫 

ヒューマンラーニング代表 / 人材育成コンサルタント

1958年東京生まれ。著作は170冊を超え、年間約200回行う研修・講演のリピート率は92%という実績を誇る仕事術の達人。主な著書に『百田尚樹に学ぶヒットを生む仕事術』(総合法令出版)『人生がうまくいく「呼吸法」』(PHP研究所)『自己能力を10倍高めるトランスフォーム仕事術』(幸福の科学出版)『超強運』(あ・うん)『図解 スティーブ・ジョブズのプレゼン術』(総合法令出版)など。著作は、韓国、台湾でも翻訳され、ベストセラーとなっている。