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ガミガミ叱ってばかりいる親は、 反省と知恵が足りません。

ガミガミ

あるお父さんの子育ての悩み

「うちの子はグズグズしてなかなか勉強しない子で、塾の宿題も、夜中まで私がついて見張っていないと終わりません。学校のプリントも言わないと出さないし、忘れ物も多いし、決められたことがきちんとできない子で。いまのままでは社会に出てから困るかな、と思って、つい叱ることが多くて……」

奥田「お子さんが心配なんですね。いいお父さんですね」

「いい父親かなぁ。なんかうちの子、素直じゃなくて、私が言っても言ってもちっとも直さなくて。だからこっちもついイライラして、ガミガミ言っちゃうんですよ」

奥田「私が見る限りでは、日ごろ彼は、お友達にやさしくて、素直でいい子ですよ? 向上心もあるし」

「いやぁ、家ではそんなことないですよ。……でもたしかに、やさしいところはありますかね。向上心はどうかな? たまにやる気を見せますが、ぼんやりしていることのほうが多いですよ」

奥田「へぇ! どんなときにやる気を見せますか?」

「虫とか魚とか、この間は理科の実験がおもしろかったらしいですけど」

奥田「いま5年生ですよね? 虫とか魚とか実験のことを、お父さんに話してくれるんですか?」

「……ええ」

奥田「いいお子さんですねぇ!」

「(苦笑いして)そうですか? でも、そんなことより算数勉強しろって、ついガミガミ言っちゃうんですよね」

奥田「いつごろから言ってます?」

「息子の勉強を見るようになった、2年生のころからかな」

奥田「では、これまでの3年間で、ガミガミ言っても教育効果が得られないことは、もう実証されましたね?」

「えっ……」

奥田子どもによい変化が見られないのに、同じことを続けるのは親の怠慢です。親の側の苛立ちや不安、『言わないと何もしない』という思い込みから、ガミガミ叱る教育を続けるのはよくありません。仕事と同じです。望んだ成果が得られないとわかったら、方法が間違っていたと反省して、速やかに別の方法を考えましょう

「……でも、どうすれば……」

奥田「まず、1日に5個、彼の素晴らしいところを発見してください」

「え、そんなにあるかなあ」

奥田「あります。ただし、お子さんの輝きを『見たいなー、知りたいなー』と、心から願わなければ発見できません。発見したうちのひとつは、必ず声に出して褒めてあげてください。そして、たまにはふたりで、世界や人生、夢や理想について真剣に語り合ってみてください。無難に生きられたら、なんてつまらない発想です。社会や人々に本当によい影響を与えられるような人物というのは、好きなことや得意なことに熱中して寝ることも忘れるような情熱あふれる人だったり、深い知恵や優れた人格を持った人だったりしますよね。男の子なんだから、でっかく育てましょうよ。

それと、イライラしてガミガミ言う親を、息子さんはどんな気持ちで見てると思います? 自分の目標に向かって懸命に努力したり、仕事や使命を熱く語ったりする親のカッコイイ生き様を、息子さんに見せてあげましょうよ。ぼくもこうなりたい! と思わせることができたら、子育ては、ほぼ成功です。がんばってください!」

Illustration by Mika Kameo

 
(2014年8月号「子育て110番」)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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