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噓をつかない正直な生き方の大切さを教える

あのときの「噓」

私が幼稚園の年長だったころのことです。近所に、悪さをするので評判のお兄ちゃんがいました。ある日、私とそのお兄ちゃんと友達の3人で水鉄砲でギャングごっこをしていて、あるお店に大変な迷惑をかけてしまいました。

私は「遊びのつもりだったのに……」と、大して悪いことをしたとも思わなかったのですが、それを知った両親の真っ青な顔を見て、「これは大変なことをしてしまった!」と分かりました。そして「あのお兄ちゃんに言われてやった」と噓をつきました。

母は、私の噓などお見通しだったのだと思います。「やったことは仕方がないが、噓をついてはいけない。噓をつく子は、ろくな人間にならない。あの世に行ったら閻魔(えんま)様に舌を引っこ抜かれるんだよ」と、とても悲しそうな顔で教えてくれました。

あれは、今思い出しても、胃がギューッとよじれるような痛みを感じる出来事です。正義のヒーローに憧れていたのに、大人たちに叱られたくなくて、ずるい心で、自分がしたことをお兄ちゃん一人のせいにしようとしました。それがなぜ半世紀経った今も忘れられないかというと、心の中の本当の自分が、卑怯な噓つきの自分を、厳しい目でじっと見ていたからです。

しかもそのお兄ちゃんは、しばらくしてどこかへ引っ越して行き、私はとうとう「ごめんなさい」が言えないままでした。だから、今でも悔やまれます。

教えてもらわないと分からない大切なこと

子供はみんな神様の子供です。心の深いところには、「何が良いことで何が悪いことか」が分かる仏性(ぶっしょう)があります。でも、仏性がきちんと目覚めるまでには、教育と年月が必要です。

特に幼児期は、善悪がよく分からず、未熟で本能的です。たとえ優しい性格の子でも、自分中心に考えて、動物的な攻撃性や自己防衛本能をストレートに出したりします。たとえば、自分のおもちゃを取られそうになったら相手を叩くし、自分が叱られそうになったら、「やってない」「知らない」と噓をつきます。相手は幼児ですので、そうした行動の一つ一つに目くじらを立てて怒る必要はありませんが、大人の責任として「お友達を叩いてはいけないよ」「噓をつくことは悪いことだよ。正直に生きることが素晴らしいことなんだよ」と、正しい方向性を教えてあげることがとても大切です。

2月に、大川隆法総裁が「うそをつかない子になろう」というお話をされましたが、「噓やごまかしはよくない」ということは、やはり教えられなければ分からないことです。「ちょっとぐらい、いいだろう」と、噓やごまかしを続けると、やがて大きな失敗をしたり、人に大きな迷惑をかけたりします。また、勉強でも仕事でも、人間関係でも、適当にごまかすことが癖になると、うまくいかなくなります。人からも信用されなくなります。

だから、「神様・仏様や守護霊は、いつもあなたを見ているよ」「噓をつかないで正直に生きるんだよ」「適当な噓をついてごまかしていると、大変なことになるよ」「あの世の閻魔様に舌を抜かれてしまうよ」と教えてあげることは、親の大切な役目だと思います。ぜひ子供たちに教えてあげましょう。

 (「Are You Happy?」2021年6月号)

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奥田敬子 

早稲田大学第一文学部哲学科卒業。現在、幼児教室エンゼルプランVで1~6歳の幼児を指導。毎クラス15分間の親向け「天使をはぐくむ子育て教室」が好評。一男一女の母。

 

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