学会での発表によると、コロナの治療で漢方医が一番多く使っていた漢方は葛根湯でした。コロナかも……という症状が出た初期の段階で葛根湯を処方したら重症化が防げた、治ったという事例がたくさん報告されました。
先日、コロナに罹ってしまったという患者さんから電話で相談を受け、葛根湯を処方してもらって飲むよう伝えたところ、すっかり症状が治まったそうです。
コロナで怖いのは肺炎です。気管支までウィルスが入ってしまうと、肺炎になる可能性があります。コロナで肺炎になった場合、なぜかレントゲンには映りにくいことがあります。特にお年寄りは、肺炎になっても症状が出ない方が多いので、気づいたときには手遅れになっていたというケースもあり、注意が必要です。
コロナに罹らないためには、免疫を安定させることが一番です。
食事・睡眠・運動面を見直し、普段から心身ともに鍛えておきましょう。冷え性の人は免疫が低いことが多いので、早めに冷えの改善を。また、肥満の方は重症化しやすいので、BMIが30以上ある方は、がんばって体重を落とし、筋肉と体力をつけることをおすすめします。
コロナに負けないための7つのポイント
1 免疫力を高める。
2 肥満にならないよう、生活習慣に気をつける。
3 睡眠をしっかりとる。
4 善玉菌を増やす食事を心がける。
5 適度な運動をして筋肉をつける。
6 疲れやストレスをためないようにする。
7 信仰免疫をつける。
漢方の飲み方
漢方は、お湯に溶かしてゆっくり時間をかけて飲みましょう。外出先などで急を要するときは、漢方をそのまま口に含み、口の中でゆっくり溶かしながら飲んでも大丈夫です。私は最近、お守り代わりに、いつも葛根湯を持ち歩いています。
コロナかも!?と思ったときの 漢方の使い方
正しく漢方を使えば、コロナに罹ったとしても早い段階で治せることが分かってきました。コロナの症状別に、漢方の使い方をお伝えします。
1 ゾクゾクときて、風邪かコロナか分からないとき
【使う漢方】
葛根湯(かっこんとう)or柴葛解肌湯(さいかつげきとう)
【飲み方とポイント】
症状が出たら、すぐその日に葛根湯2袋をお湯に溶かして飲みます。さらに1~2時間後に2袋を飲み、発汗したら飲むのをやめます。柴葛解肌湯は、スペイン風邪のときによく使われた漢方です。
葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)を混ぜると、この漢方になります。
2 喉の痛みや咳が強くなってきたとき
【使う漢方】
大柴胡湯(だいさいことう)or 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
【飲み方とポイント】
朝・昼・夜の1日3回、1袋をお湯に溶かして飲みます。便秘気味で体力がある人は大柴胡湯を。便秘ではなく体力があまりない人は、柴胡桂枝湯を使います。
3 熱が下がったのに、翌日また熱が上がったとき
【使う漢方】
小柴胡湯(しょうさいことう)or 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
【飲み方とポイント】
朝・夜の1日2回、抗生物質の役割をしてくれる小柴胡湯1袋を、お湯に溶かして飲みます。少し体力が落ちているなと感じるときは柴胡桂枝湯、かなり体力が落ちてしまっているときは、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を使います。この場合、葛根湯と麻黄湯(まおうとう)は効かないのでご注意を。飲むと余計に体がくたびれてしまうので、使わないようにしましょう。
4 コロナは治ったけれど、だるさが続くとき
【使う漢方】
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
【飲み方とポイント】
夜寝る前に、1袋をお湯に溶かして飲みます。免疫細胞の8割がいるおなかの状態を改善します。
5 コロナは治ったけれど、咳が続いているとき
【使う漢方】
麦門冬湯(ばくもんどうとう) or 五虎湯(ごことう)
【飲み方とポイント】
夜寝る前に、1袋をお湯に溶かして飲みます。呼吸がヒューヒューするときは麦門冬湯、咳がひどいときは五虎湯を。
(「Are You Happy?」2021年12月号)
小林城治
精神科・心療内科医
医療法人社団ヘルメス会「J戸越銀座クリニック」理事長。
高い実績を認められた復職支援(リワーク)の専門機関、薬だけに頼らない療法で社会復帰をサポート。現代書林『赤ひげ名医シリーズ』に掲載他、日本テレビ『ニュースゼロ』TV東京『ワールドビジネスサテライト』等、テレビ出演も多数。
書籍『2014最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医12人』に選ばれている。