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不眠【 Dr.ジョージのHAPPY診療室】

いい睡眠のための生活習慣7カ条

1. 寝る2~3時間前の飲食は避ける。
2. 夜はコーヒーや紅茶などのカフェインを摂らない。
3. イライラや神経の高ぶりを鎮める柑橘類を摂る。
4. 腹式呼吸でリラックスする。
5. 運動をして筋肉量を増やし、深部体温を上げる。
6. 朝起きたら日の光を浴びる。
7. 寝る前に1日を振り返り、神様に感謝する。

筋肉量や代謝が落ちてくる40代前半~50代後半の女性の半数が不眠で悩んでいると言われています。不眠は、糖尿病や肥満、高脂血症、認知症などを引き起こすことが分かっているので、早めに解消したいですね。
不眠(睡眠障害)には、4種類あると言われています。一番軽い症状は、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」で、試験の前など、緊張しているときによく起こる症状です。これは正常の範囲です。もう少し重くなると、夜なかなか眠れない「入眠障害」や、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」といった症状が出てきます。一番重いのが、何時間寝ても寝足りない、寝れば寝るほど気力がなくなっていく「熟眠障害」です。1週間に4日以上、10時間寝るような「過眠」もこの中に入ります。
睡眠をコントロールする要素は2つあります。ひとつは「体温」です。低体温や冷え性の方は、不眠で悩んでいるケースは多いです。もうひとつは「光」です。睡眠ホルモンであるメラトニンを正常に出すためにも、朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びましょう。メラトニンは、光を浴びてから14~16時間後に出てきます。
漢方では、イライラや緊張をほぐして寝つきをよくする「抑肝散(よくかんさん)」や「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」を。夜、何度も目が覚めてしまう方には、「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつほれいとう)」がおすすめです。「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」は、疲れているのに寝付けない方に。「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」は、頓服によく使われる漢方です。

眠れない夜に!「不眠」に効くツボ

百会(ひゃくえ)

左右の耳を結んだ線と、眉間の中心から頭のてっぺんまでの線が交差する頭頂部にあるツボで、不眠改善やリラックス、頭痛などに効きます。強く押しすぎず、気持ちいい程度にゆっくり10~15回ほど押しましょう。

三陰交(さんいんこう)

足の内側のくるぶしの一番高い部分から、指4本幅分上にあるツボ。不眠はもちろん、むくみや冷え改善、胃腸の調子を整えたり、生理痛緩和など、さまざまな不調に役立つ、女性にぴったりのツボです。温めるだけでも効果があります。

Column 朝起きたときにおなかは空いてますか?

朝になるとメラトニンの代わりに覚醒ホルモンのオレキシンがぐっと上がってきます。オレキシンは別名「食欲ホルモン」と言われていて、朝起きたときにおなかが空いていたら熟睡できていたということになります。
体内リズムは、地球のリズムより12分遅れているので、放っておくとだんだん生活リズムがずれていきます。朝なかなか起きられないという方は多いですが、起床時にはちょっとした「意志の力」が必要になるからかもしれません。
漢方は睡眠剤ではありません。睡眠薬を使っている方は漢方を補助として使いながら、少しずつ量を減らしていけるといいですね。

おすすめ漢方薬

イライラや緊張を鎮め、寝つきをよくする
抑肝散(よくかんさん)

イライラが強く、体の中に熱がこもっているようなときに
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

動悸やイライラがあり、夜、何度も目が覚めてしまうときに
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつほれいとう)

疲れているのに、神経が高ぶってなかなか寝付けないときに
酸棗仁湯(さんそうにんとう)

(「Are You Happy?」2021年7月号)

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小林城治 

精神科・心療内科医

医療法人社団ヘルメス会「J戸越銀座クリニック」理事長。

高い実績を認められた復職支援(リワーク)の専門機関、薬だけに頼らない療法で社会復帰をサポート。現代書林『赤ひげ名医シリーズ』に掲載他、日本テレビ『ニュースゼロ』TV東京『ワールドビジネスサテライト』等、テレビ出演も多数。

書籍『2014最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医12人』に選ばれている。

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