穏やかなのに本音も伝える
お世辞にも美人とは言えない人が、人から好かれる美人になる方法があります。それは感じの良い雰囲気を身に着けることです。
「あの人、すごく美人ってわけじゃないけど、なんか、いい感じなのよ」
と言われればしめたもの。感じの良さは、オブラートのように、その人を美人の雰囲気で包んでくれます。
誰もが認める雰囲気の良さを持っていたのは、女優の八千草薫(やちぐさかおる)さんです。
「近頃、ほうれい線が強くなってきたの。しょうがないわよネ、年なんだから」
穏やかなのに、サッパリ割り切れるのが八千草さんの良いところです。スタッフが間違った色のファンデーションを塗ったときには、「白黒の取材だから大丈夫」と周囲を気遣ってくださいました。
「間違ったことや嫌なことがあっても、笑ってすまして良い人ぶる。それがあたしの嫌な性格なのよ」
本音っぽいことを笑顔で言うのも、八千草さんの好かれるところです。
「だってみなさんに良い人だと思われていたいじゃない。それに合わせてみなさんも協力してくれるからイケないのよ」
そこにいるだけで温かさ、優しさを感じ、そのオーラに包み込まれると、周囲にいる人は彼女になんでもしてあげたい気持ちになります。生まれ持った目鼻立ちの美人より、意外と雰囲気の良い人の方が好かれるのは、美人に追いつこう、肩を並べようと、けなげな努力をするのが見えるからで、もし美人が感じの良さを身に着けたら、かなう者はいません。ただ、そういう方が少ないのが幸いで、世の中、上手くバランスが取れています。
一重美人に学ぶ雰囲気
ところで、日本人の多くは一重まぶただと言われていますが、一重の女性はそれを欠点と感じる人も多いようです。私たちが思う以上に目の強さ、きつさを気にし、どうしたら二重のかわいさに対抗できるか、日々奮闘しています。それゆえ、一重まぶたの女優たちは美人でありながらも良い雰囲気を努力して身に着けており、彼女たちから学ぶことも多いのです。
一重まぶたの美人女優である田中裕子(たなかゆうこ)さんや、黒木華(くろきはる)さんは、相手を強く見つめるときに、首の動作を加えています。少しだけかしげたり、うつむき加減にしたりして、きつく見えがちな目の奥に優しさを感じさせます。
田中さんは視力が弱いこともあり、相手を見つめるときに眉間に力を入れるのですが、切れ長の目がちょっぴり丸みを帯びて、それがなんともかわいらしく、張り詰めていた空気がふわりと緩みます。
少し微笑んだだけで優しい雰囲気が生まれるのは一重の人の特権で、期待していなかったものが突然見えるギャップに弱い我々は、心をつかまれてしまいます。声の低い方が高い声を出したり、気の強い人が弱音をこぼしたり、そんなことも雰囲気の良さを生むきっかけになります。
ワンテンポ遅れる心地よさ
そして、八千草さん、田中さん、黒木さんに共通していて、雰囲気作りに影響しているもう一つのこと。それは、話の出だしが、人よりワンテンポ遅いことです。
人の話をさえぎらず、周りの了解を取って喋り始めるかのようで、奥ゆかしさを感じさせるのですが、男性はその雰囲気が好きなのです。すべてにおいて流れを早く感じる今、彼女たちと過ごす時間の中で、忘れてしまった大事なものを探すのも良いものだという気にさせられました。雰囲気美人は、その雰囲気で周囲の人も気持ち良くさせてくれます。時代の波に乗るのも良いですが、あえて時代とのギャップを生むことで、その人らしい雰囲気を作るのも良いのではないでしょうか。
© K’s color atelier
やさしいようで 強い そんなギャップが魅力的
今月のレッスン
長所と短所は紙一重。
欠点を見直すと雰囲気が生まれやすい。
(「Are You Happy?」2021年4月号)
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